市場戦略と非市場戦略の統合で
リソース配分の効率を高める

日置 欧米企業では、入山さんがおっしゃった非市場における戦略、「ノンマーケット」とも呼びますが、それを担う「ガバメント&レギュラトリーアフェアーズ」のような組織がコーポレートファンクションとして存在しており、対政府リレーションの専門家が、自社に有利に働く事業環境をデザインするための土壌整備をしているわけです。しかも本国だけではなく、グローバルで組織が配置されています。そして、マーケット戦略を担う人材とノンマーケット戦略を担う人材が融合して働いている。

入山 ビジネスを組み立て、そのプランを実行していく中で、市場戦略と非市場戦略がグローバルレベルで統合されているのですね。

日置 グローバルで戦うには、そのくらいしたたかでなければ駄目だ、という証左でもあります。こうした発想でビジネスの方向性をフォーカスしていくことで、狙いを定めた経営のリソース配分が可能になり、生産性を高めていくことができる。日本企業も、このようにビジネスを大局的に捉えた生産性の議論をすべきでしょう。

 日本企業は、蒸気機関の発明に始まる生産の大規模化を受けたテイラーの科学的管理法を独自に進化させ、ものづくりの生産性向上には世界一といえる実績を積み上げてきましたが、そういったレベルの生産性に関わる業務は機械に置き換わるかもしれません。そうなると、例えばロビー活動のように、企業と顧客をつなぐ、ある組織と組織の間に入って両者をうまく統合するという機械に置き換わらない仕事が、経営あるいはホワイトカラーの仕事として重要になってくるわけです。

入山 そこに優秀な人材を充てていくことが、ビジネスの成功要因になってくるのでしょうね。

日置 アメリカ企業は、エグゼクティブ層になるほど日本企業より断然、人間臭いところ非公式も含めたコミュニケーションで物事が決まっていきます。一方で、それを実行する機能は仕組みとして整備されているので、極端に言えば、それこそ機械が担当していても、回るようになっているわけです。

入山 エグゼクティブが経営管理者ではなく企業家としての役割に注力しているということですね。