100個のネガティブプラン

枝廣:「システム思考をちゃんとやっていれば、想定外はない」とシステム思考家はよく言うんですよね。想定外というのは、きちんと全体を見ていなかったか、介入による副作用を予測できなかったことを露見している恥ずかしいことなんだから、言うなって(笑)。だけど今は想定外が言い訳になってしまっています。

中竹:そうですね。やっぱりシミュレーションをしないといけないし、そしてネガティブプランをちゃんと持っておかないと、うまくいくはずがない。準備する段階でポジティブなことばかり考えていても意味がないと僕は思っていて、こんなことは起こらないだろうと思えるものを100個くらいあげて、もうこんだけ想定したから何も怖いものはないという状態までもっていく。

枝廣:100個のネガティブプラン……それはすごい。

中竹:選手やコーチや企業の方と話をしていると、プラン通りいかなかったというそのプランが、そもそもポジティブすぎるでしょうっていう。

枝廣:よくわかります。私は「自分合宿」という、自分のビジョンを描いて、それを形にしていくための手法を見つけようという1泊2日のワークショップを10年くらいやっています。その時にもいつも言うんですけど、計画を立てるときに、たいていの人は、子供は熱を出さず、上司は残業を言いつけなくて、電車はいつも定刻に走ることを想定して計画を作るんですよね。でもそれは絶対に挫折をする。

中竹:そうですね。

枝廣:理想的な計画も大事だけど、例えば電車は遅れ、上司が残業を言いつけ、子供が熱を出しても、最低これだけはやるっていう、ネガティブプランというか、最低限のプランも持っていないと、まじめな人ほど最初に作ったプランができないと、すぐにやめてしまう。

 でも、中竹さんみたいに100個もネガティブプランを出すのは結構つらいと思うんですが、何がきっかけでそこまでやろうと思われたんですか?

中竹:小学生くらいから、すっごい冷めていたんです。自分の能力の限界がなんとなくわかってしまって。人より能力が低いから、人よりがんばらないといけないなっていう感覚ですね。

枝廣:小学生のときに、もう自分を俯瞰して見ていた。