エディ・ジョーンズは「引き出し」が多い

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枝廣 淳子(えだひろ・じゅんこ)
幸せ経済社会研究所所長、東京都市大学教授
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。環境に関する国内外の動き、新しい経済や社会のあり方、レジリエンスを高めるための考え方や事例等、「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」で、しなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。デニス・メドウズ氏をはじめとする世界のシステム思考家とのネットワークを築き、『成長の限界』『学習する組織』『世界はシステムで動く』等を翻訳。

枝廣:確かに経営者にしても、ほんとにいい経営者になるには、マネジメントとか数字の読み方とかだけじゃなくて、人間として優れていないといけない。だから美術や芸術に触れた方がいいという話がありますが、これはラグビーの指導者でも同じなのでしょうか?

中竹:スポーツもビジネスも、人が何か成果を出す営みなので、起きる問題はほぼ共通だと思っています。そして問題解決のカギとなるのが、「引き出し」の多さです。いま自分のチームにはこういう課題がある。じゃあほかのスポーツはどうなの? ほかの組織は? ビジネスだと? そういう異分野との共通項を見つける「引き出し」の多さが際立っていたのが、日本代表の監督を務めたエディ・ジョーンズでした。

枝廣:おお、引き出しですか。

中竹:僕は20歳以下の日本代表ヘッドコーチも兼務していて、エディとは4年間一緒に仕事をしてきたんですが、ミーティングなどで顔をあわせると第一声が、「最近おもしろい本を読んだか?」とか、「いま何を勉強しているんだ?」とかなんです。そう聞かれると僕もカンファレンスで仕入れた最新理論だとか、今こういう本を読んでいるんだとか、もうラグビーの話じゃないんですよね。ああいう結果を出す人は、本を読んだり人と会ったりしてものすごく勉強しながら、どうやって勝つ組織になるかを突き詰めている。

枝廣:おもしろいですね。ラグビーでどう勝つかではなくて、どうやって勝つ組織になるか、という一段抽象度を上げると、ビジネスでもなんでも勉強材料になるということですね。

中竹:そうだと思います。3年くらい前から、プロ野球チームのお手伝いもしているんですが、最近までプロ野球という日本最高峰のスポーツが、ラグビーみたいなマイナースポーツの人に教わることは、たぶんなかったと思うんですよ。でも、今ではラグビーという異分野から学ぶ大切さをわかってくれる企業や、サッカーチーム、野球チームの指導者を教える機会が増えています。