個性あふれる人たちが描いた、個性あふれる絵に込めた思いとは

 黒澤さんだけでなく、ほかの4人の集中力も凄まじいものがありました。必要以上に声を発することもなく、手を動かしているか必死に考えているかのどちらかです。そんな参加者が描いた絵と、そこに込めた思いはどのようなものだったのでしょうか。

写真を拡大
小田瑞恵さん

 タイトルを「つかむ」としたのは小田さんです。

 描き始めてから40分間、小田さんはひたすら画用紙の中心に円を描いていました。それは同心円状に広がっていきますが、ほとんど構図の変化はありません。

「私はアイデアを考えることが多い職種です。何かに引きずられることなく頭の中を無にして考えることを大切にしたいと思い、集中力やアイデアを表現しようと思いました」

 ところが、突然自分の右手を画用紙に置き、手形をなぞり始めたのです。40分間変えなかった絵が、ここで一気に別のものになりました。

「いったん描き終えたのですが、絵を見ているうちに手を描きたくなったのです。その理由は説明できませんが、描いたことによって、より集中した感じが出たと思います」

写真を拡大
渡辺清美さん

 渡辺さんが仕事で大切にしているのは「喜びを提供すること」だといいます。

「ワクワク、キラキラというイメージを思い浮かべました。仕事で関わった人やものごとの輝きをどうすれば最大限に引き出せるか、そして喜びを提供し、そこから新しいものが生まれるといいなという思いを表現しました」

 渡辺さんの絵は、四隅の一角に色をつけ、中心に渦状のものを描き、もうひとつの四隅に別の色を乗せる構図が終始一貫して変わりませんでした。それが、喜びであり輝きであり新しいものだったのです。

 途中、大きさや色が変化を見せることはありましたが、最初の構図は大きく崩れませんでした。渡辺さんが仕事で大切にしたいことのイメージは、それほど強いものだったということです。

 渡辺さんは、絵のタイトルを「プレジャー」と名づけました。

写真を拡大
藤村能光さん

 タイトルを「創思」としたのは藤村さんです。

「働くって何? と考えたとき、最初に思い浮かんだのは人です。人の幸せや、人への感謝の気持ちをどんどん膨らませていく。それが仕事をするうえで大切なことだと思いました。で、人って何だろうと考えたとき、冷静、情熱、感情、論理、いろいろなものが入り交じっているという思いから、カラフルな絵にしたいと思いました」

 藤村さんは、中心に円を描き、その周囲にいくつもの円を描きました。

「人と人とのつながりを表そうと思ったんです」

 しかし、途中で全体を黄色で塗りつぶし、新たな絵を描き始めます。最初の絵から最も大きな変化を見せたのは、この藤村さんの絵でした。

「描いていくうちに、それがハートに見えてきたんです。これこそが人の心なんじゃないか、人の思いなんじゃないかと思って、最終的にこういう絵にしました。ハートになったのは、本当に偶然なんです」

 さて、冒頭からやる気のスイッチが入っていた青野さん。青野さんの描き方も、ほかの参加者に負けず劣らず個性的でした。

 その絵は、参加者から「タペストリー」「不規則な規則性」という印象で語られます。いったいどのような絵になったのでしょうか。そして、そこに込められた思いとは。その詳細はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー1月号に掲載されていますので、ぜひともご覧いただきたいと思います。