「取って、つくって、つくり続ける」アプローチへのシフト

  「勝ち組」企業は、どうやってビジネスモデルの転換を図り、キーテクノロジーを獲得し、必要ケイパビリティを確保しているのだろうか?

●勝ち組企業は、自社に最適なビジネスモデルを慎重に選択している。さらに、新たなサーキュラー・ビジネスモデルの実践においては、慎重に外部のエネイブラーやエコシステムを識別し活用している。

●勝ち組企業は新たなビジネスモデルの実現や事業拡大に必要なテクノロジーを確保している。これらのテクノロジーを活用して資源の効果的な管理や、廃棄物の削減と収益化、顧客への製品/サービス提供を実施することで、事業成長と製品開発を恒常的に実現している。

●勝ち組企業は、CEの原理を効果的に取り入れ実践するために必要な能力を組織的に蓄えている。本著では企業が製品設計から、生産、販売、使用、回収、修繕、再利用までのバリューチェーン全体を掌握するために必要な5つの機能シフトを紹介している。

  変化が必須であり、サーキュラー・ビジネスモデルへのシフトが急務なのは明白であるが、企業の多くは依然として、初めの一歩をどう踏み出せばいいのか苦慮している。新たなビジネスモデルを試験導入してみたものの、将来的に事業拡大が可能な領域とそうでない領域の特定に手こずり、多くの企業は新規事業へのシフトに踏み込み切れていない。  本レポートでは、最初の一歩を踏み出すためのシンプルなフレームワークを提示している。これは業種にかかわらず、あらゆる企業の幹部がCEに着手するために活用できる戦略的オプションである。ビジネスの成功は、次の5つの重要な初期アクションにかかっている。

1. 現実的な事業機会を見極めて、そこに注力する(非現実的な事業機会は「ノイズ」ととらえる)。

2. 顧客への価値の創出方法と顧客への提供方法を見直す。

3. ビジネスに必要不可欠な新たな能力を順次開発する(少なくとも初期段階では、「完璧な」循環は不可能であることを認識する)。

4. テクノロジーに投資して、循環型のバリューチェーンを構築する。

5. 短期間で簡単に手にすることができる成果と長期間に発生する大規模な変化のバランスを取る。

  サーキュラー・エコノミーへの転換は、「取って、つくって、捨てる」という旧来のアプローチから、「取って、つくって、つくり続ける」アプローチへのシフトを意味する。この転換には時間と努力を要する。だからこそ、いつ、どのように変化に着手するか、事前に戦略を策定することが肝要である。

  CEによる競争優位を発揮するための第一歩は、現在の大量生産・大量消費モデルを放棄する理由とサーキュラー・ビジネスモデルがもたらすメリットを、コアテクノロジーや必要な能力の見極め含めて明確に理解することである。

  常に成長し続けることを目指す企業にとって、CEを活用した競争優位性の確立は無視することのできないテーマであり、いまこそが第一歩を踏み出す絶好のタイミングなのだ。

 

1 Accenture, “Accenture Technology Vision 2013: Every Business Is a DigitalBusiness,” https://acnprod.accenture.com/us-en/insight-tech-vision-2015-internet-me-video.