既存のビジネスから外れた、突出した才能を磨くことも大切

――優秀なクリエーターを育てることを目指す「未踏IT人材発掘・育成事業」は、IPAの事業のなかでも特に注目されています。

長澤 良次(ながさわよしつぐ)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)IT人材育成本部イノベーション人材センター未踏人材グループリーダー
若者を対象とした「スーパークリエータ(天才的なクリエーター)育成のためのプロジェクト「未踏IT人材発掘・育成事業」を担当している。

長澤 未踏事業は、25歳未満を対象に、世の中を変えられるようなアイデアと技術を持つ若者を見つけて育てるという事業です。日本の産学界の第一線で活躍されている 方にプロジェクトマネージャー(PM)となってもらい、そのPMが、さまざまなプロジェクトのアイデアを持って応募してきた若者のなかから、独自の観点で育ててみたい人やグループを選抜します。選ばれたクリエーターは、PMのほか、未踏事業OB、OGらのアドバイスも受けながら、9カ月かけてアイデアを形にするためにプロジェクトを進め、最終的な成果を一般公開の報告会で発表します。

 PMから優れた成果を上げたと評価された人は「スーパークリエータ」として認定されます。2014年度は、ウェブ上の記事などを集めて、ニュース動画を生成するシステムを開発した大学生、プログラムのモジュールをドラッグアンドドロップなどの直感的操作で組み合わせることによってアプリケーションを作成できるシステムを開発した中学3年生の二人組、髪や耳に装着し、音を検知すると振動することで、聴覚障害者に車の接近など周囲の音の状況を伝える装置を開発した大学院生らが認定されました。

 ――未踏事業出身のクリエーターにはどのようなことを期待しているのでしょうか。

長澤 クリエーターのなかには、起業したり、企業に勤めてプロジェクトを事業化したりした人も数多くいますが、必ずしも事業化することが目的というわけではありません。研究者として、プロジェクトの経験を生かして技術開発に携わっている人もいます。既存のビジネスになる領域を超えたアイデアを持った、突出した人材を育てることが、日本のIT技術、クリエーターのレベル引き上げにつながれば、と期待しています。