情報システム部門は、新事業・サービスを生む「攻め」の姿勢へ変革を

――IoT時代の到来によるミスマッチの解消に向けて、企業のIT・情報システム部門はどう対応したらいいのでしょうか。

山﨑 ユーザー企業のIT部門に対する調査によると、IT部門が現在、担当している業務は、社内システムや情報セキュリティ管理が中心で、依然として業務効率化、コスト削減といった「守りのIT」が主になっているようです。一方で、データ分析などの高度化による情報活用や社内業務プロセス設計などについては、事業部門が担当しているケースが多くなっています。

  IoT時代には、価値を創造し、国際競争力を向上させ、稼ぐ力の基盤を築くための「攻めのIT」への転換が求められます。ユーザー企業のIT部門が存在感を発揮するには、業務コスト削減を求める守りのITを脱し、データ分析などの領域を担っていく必要があるでしょう。そのことは、IT部門も十分に感じているようです。IT部門に回答を求めた調査では、これから自部門に期待される役割として「業務プロセスの変革」「現行ビジネスの拡大拡充のための新たな販路や顧客開拓支援」「新たな事業やサービスを生み出すための事業部門との協業や支援」を重視している様子が浮かび上がってきます。

 こうした新しい価値を生み出せるようなIT部門の変革には、貴重なデータを抱えるユーザー企業の組織環境整備が不可欠です。しかし、IPAが「IT 融合人材育成における組織能力評価指標(成熟度モデル)」で挙げている「経営者のリーダーシップ発揮」「トライ&エラー環境の整備」「価値実現プロセスの整備」「体験型学習環境の整備」などの項目については、いずれも5~6割程度の会社が未整備と回答しています。

  IoT時代に価値を創造できるIT人材を育成するためには、新しい発想やスキルを身につけてもらうことが重要です。まずは、求められる能力・スキルの変化に対してマッチするように、組織環境の整備を急ぎ、人材を育成する土壌を整えていく必要があります。

 ――IT人材の不足は長年、指摘されていますが、現状はいかがですか。

山﨑 リーマン・ショックの影響で2009年度、2010年度は、人材の量的な面での不足感はやや薄らいでいました。しかし、日本郵政グループや大手金融機関、マイナンバーなどの大型システム開発が目白押しになった2015年問題もあって、2014年度は、金融危機前の2007年度の水準まで不足感が強まっています。一方で、質的な不足感は2007年度から2014年度まで、ほぼ一貫して「大幅に」あるいは「やや」不足しているという回答が9割程度と大きな変化は見られません。特に量的な面では、ユーザー企業より受託するIT企業(1次請け)、1次請けより2次請けのIT企業と、人材不足が深刻化する傾向があり、IT業界の構造的な傾向が見受けられます 。