このパラダイムシフトに適応できるのか

 文明批評家として知られる著者のジェレミー・リフキンは、これまでもその著書で、持続可能な産業経済、再生エネルギーの問題、所有からアクセスへの転換、あるいは第三次産業革命など、時代の変化をいち早くとらえてきた。本書で展開される議論も、これらの延長線上にあるといえるかもしれない。第1章では経済のパラダイムシフトについてその概観が語られ、次の第1部では資本主義の歴史が封建時代の経済にまで遡って詳しく語られる。第2部以降ではIoT、3Dプリンティング、MOOC、クラウドファンディングなど、さまざまなデジタル技術やサービス、それに伴って変化した新たなシステムが紹介される。これらは、さまざまな思想家や識者の主張や見解を踏まえたうえでの著者の洞察が示されており、第1章と第1部で語られた資本主義の凋落、そして大きな変化を改めて認識させてくれる。この変化は一夜にして起こるわけではないが、現在の企業や社会、そして私たちはこれに適応することができるのか、と考えさせられる。

 なお、本書には、日本語版への特別章として「岐路に立つ日本」が加えられている。メルケル首相の下、2005年にIoTインフラへの舵を切ったドイツに比較し、日本は中途半端な状態にあるという。特にエネルギーの問題に触れ、20世紀の化石燃料と原子力に頼っていては限界費用がゼロに近いグリーンエネルギーで動く経済には、もはや太刀打ちできないであろうと予測されている。しかし、第一次・第二次産業革命の両方で総効率と生産性を向上させた日本の経験は、IoTインフラへの転換においても強みになるという。さらに、日本が起業の才を発揮し、エンジニアリングの専門技術を動員し、潤沢な文化的資産を活かせれば、限界費用ゼロの時代において、世界のリーダーとして貢献できるかもしれない、と結ばれている。