「多文化への耐性」が今後のキーワード?

 次のグループでは、「コミットメント期間」における評価基準が問題となっていた。「コミットメント期間」を機能させるためには、その期間が会社と個人双方にとって有意義なものだったのかをフェアに判断する基準を設ける必要があることは言うまでもない。

 しかし、現実的には「社内の評価制度が曖昧(あいまい)」と感じているメンバーが多いようだった。「しっかりした評価基準がないまま『コミットメント期間』が導入されても、結局は『どれだけ会社に尽くしたか』『どれだけ長時間働いたか』が問われてしまいそう」と心配するメンバーもいた。それではフラットで互恵的な関係にはならず、「アライアンス」が掲げる「終身信頼関係」を築くことはできない。終身雇用の元では、会社への「忠誠心」が重視される傾向にあったため、まずはそこから変えることが重要になりそうだ。

 最後のグループでは、1つ目のグループで議論になった「若手社員への教育」について筆者から問題提起してみた。それに対してある男性は、アライアンスを根付かせるためには「多文化への耐性」を付ける必要があり、その耐性を大人になってから鍛えるのは難しいとした。まさに「鉄は熱いうちに打て」の発想で、中高生の留学を促進するなどの対策が必要だというのだ。となると一企業の問題ではなく、日本経済、社会がどのような方向に向かうべきか、政府や国民を巻き込んだ議論を行っていく必要があるだろう。

 議論を終えた参加者たちは、

「ハード面での解決策が議論されることが多かったように思う。日本の教育のあり方そのものに対して変えていく必要があるという意見は、違う角度なので面白かった」(大手商社・女性)

「『アライアンス』の導入は、変化する市場を相手にするには不可欠。事業・組織の生死、変化をポジティブにとらえ、卒業生を大事に活かしきる。組織の枠を広げて作り直すリフレーミングの発想が大切などなど、本質的気付き・学びがありました」(大手電機メーカー・男性)

「さまざまな異なるバックグラウンド・転歴がある皆さんには、さまざまな考え方や視点があるのは当然であるものの、今回のテーマについては、共通した『変わっていかなければならない』という思いを感じました」(官公庁・男性)

などの意見が聞かれた。

 今回の議論によってわかったのは、「アライアンス」を日本企業に導入するためには、まだまだ課題が山積みだということ。しかし、参加男性が指摘したとおり、誰もが「変わっていかなければならない」と思う分岐点に日本経済が差し掛かっていることは確かだ。

「アライアンス」という発想が、これからの日本を変えるキーワードになるかどうか。まずは自分が所属する組織のなかで、できることから始めてみる必要があるだろう。