異文化の相手と正しく向き合う

 カルチャーマップは、各国の文化についてさまざまなことを示唆してくれる。たとえば、同じ欧州であっても、ドイツとフランスのコミュニケーションの指標にはかなり差がある(ドイツのほうがローコンテキスト)。ともすれば、一括りに判断しがちな私たちだが、文化とは相対的なものであり、それぞれに微妙な違いがあることを認識する必要があるだろう。

 また、コミュニケーションで最もローコンテキストとして位置づけられているアメリカだが、評価の指標を見ると、相手に直接的に批判するのは好まず、悪い評価はポジティブなフィードバックとともに和らげて伝えるのをよしとする。むしろ、フランス、ロシア、イスラエルなどはアメリカよりもハイコンテキストなコミュニケーション文化を持つ国々が、アメリカよりもストレートな批判を受け入れる傾向にあることもわかる。「はっきりものを言う」文化とステレオタイプに判断すると、誤解や対立を生むことにもなりかねない。カルチャーマップを読み解いていくと、各文化に対する正しい理解が促されるのだ。

 本書のサブタイトルには「ビジネスパーソン必須の教養」とある。たしかに日本企業のグローバル化、多様化が避けて通れない現在、語学能力とともに異文化理解力が欠かせないものになる日は近いかもしれない。辞書によれば教養とは「広い知識から得た心の豊かさ」だという。また異文化理解力とは「相手の発言や行動の真意を正しく理解し、相手が自分の行動をどうとらえるかを理解すること」ことだそうだが、そのためには、相手の文化に対する広い知識が必要となるだろう。そして、その先には、相手との豊かな関係が生まれるのではないだろうか。