外部の力も活用したサービス提案の枠組みの拡大と提案スピードの向上

  サービス事業転換を成し遂げ、“アウトカム(成果)”ベースのサービス提案ができるようになった後もチャレンジは続く。顧客との関係を強化し、長期的な収益源を確立していく必要があるからだ。そのためには、より一層、顧客にとって重要な経営課題を解決していく必要がある一方で、課題を解決するために必要なケーパビリティが自社内に存在しないケースが多くある。

  また、サービス提案のスピード向上も非常に重要な要素だ。サービス事業の世界は、これまでの「もの売り」とは異なり、一つの技術を押さえることで市場において優位な立場を長く確保できるわけではない。スピード感を持って市場にサービスを投入し、市場の反応を見ながらサービスを改良したり事業の内容を一新したりすることを通して市場を押さえていく世界なのだ。逆に言うと、これまでのものづくりの世界のように、十分な市場調査を行い、品質を担保するために必要な時間をかけて製品をつくり込んでいった場合、よりスピードを持った競合に市場を先に押さえられてしまう、あるいは自社の押さえていた市場を奪われてしまう可能性がある。

  サービスの枠組みの拡大と、提案スピードの向上はいずれも大きなチャレンジだが、こういったチャレンジを乗り越えるには、社外とのパートナリングを積極的に活用することも一つのオプションだ。特に、海外のIIoT先進企業では、社外とのパートナリングを活用し、場合によっては、顧客との関係自体もメーカーからサービス事業者へと変えながら、早いタイミングで市場シェアの獲得を目指そうとしているケースが多く見られる。

●GEは、ジェットエンジンのセンサー情報および故障予兆検知アルゴリズムに、アクセンチュアの運行スケジュール・運行管理ソリューションや、アナリティクスケーパビリティを組み合わせ、故障の事前検知に加え、運航計画自体の最適化を行うサービス事業者へと転換

●Siemensは、自社の送配電技術やスマートメーター、およびメーターデータ管理システムに、アクセンチュアの請求システムやアナリティクスケーパビリティを組み合わせ、電力需給調整の最適化サービスの提供を目指している

  今回のグローバルCEO調査2015に基づくと、前述の通り、世界各国の経営者の半数以上(57%)がIIoT は新たな収益源の創出に貢献すると答える一方、同様の回答をした日本の経営者は3割に留まっている。自社の既存のケーパビリティだけでは限界がある一方で、海外のIIoT 先進企業のように外部の力も活用しながら、より大きな顧客の経営課題を解決しようとすることは、IIoT のポテンシャルを最大化し、新たな収益源をつくっていくための一つのカギかもしれない。

 

5. http://www.ge.com/files/usa/stories/en/Growth_The_HBR_Interview.pdf
6. GE Reports
7. http://www.siemens.com/innovation/en/publikationen/publications_pof/pof_spring_2008/tailored_solutions/siemens_one.htm
8. http://www.siemens.com/press/en/pressrelease/?press=/en/pressrelease/2012/infrastructure-cities/smart-grid/icsg201210025.htm