IIoTのCEOアジェンダ化とサービス化を加速するコーポレート・マネジメント(2)

  立ち上げ当初の事業の規模が小さいのはどの新規事業にも当てはまるが、サービス事業を新たに立ち上げる際には、さらにキャッシュフローの観点からのハードルが存在する。顧客に一括で対価を請求する「もの売り」と異なり、顧客に継続的にサービスフィーを請求するサービスモデルでは、サービス提供初期には自社のキャッシュフローはマイナスにならざるを得ない。サービス契約が積み上がっていくに従って、将来支払われるサービスフィーは受注残額やバックログとして自社のビジネスに安定的な収益をもたらすが、そこまでサービス事業を辛抱強くサポートし、育てていけるかどうかが、事業のサービス転換を達成できるかどうかの分かれ目となる。

  通常、こういった規模の小さいビジネスは、規模が大きく収益も上げている既存事業の声に押され、投資や優秀な人材を継続的に確保することができずに行き詰ってしまうことが多々ある。しかし、既存事業部の声に押されてしまっては、IIoTを活用した事業のサービス転換を成し遂げ、顧客と継続的な関係を構築し、長期的な収益源を確立することはできない。このような事態を避けるためにも、サービス事業転換をCEOアジェンダとし、コーポレートのサポートのもと、サービス事業を我慢強く育ててかなくてはならない。

  また、サービスを中心としたビジネスを実現するには、これまでのもの売りとは異なる仕組み、すなわちサービス化を加速するコーポレート・マネジメントの仕組みを整備する必要がある。たとえばサービス事業では相対契約になるケースが多いので、それぞれの契約を管理する仕組みや、サービス全体の収益を管理するファイナンスモデルを用意する必要がある。また、製品+保守/修理サービスを基本とするもの売りとは異なり、顧客に対し継続的にサービスを提供していくサービス事業においては、販売後もサービスレベルを管理していくための仕組みの整備も必要。さらに、サービス事業の営業活動は、ものを中心とした場合と比べて長期にわたるため、人的リソースも含めた投資の管理や評価のあり方を新しく考えることも必要になるなど、組織的なドライブも重要である。これまでとは異なるビジネスを生み出していくためには、コーポレート・マネジメントの仕組みも含めてサービス化に対応していく必要がある。

  GEでは、事業ラインとは独立したコーポレート所属のマーケティング部門が各事業部に入り込み、“Dreaming”と呼ばれる 2カ月間で、既存の事業モデルにとらわれない成長シナリオに特化して議論を重ねている。また、その際にはアイデアの触媒として社内外の有識者を招聘し、議論を活性化させるなどの工夫もしている。こういった例のように、既存事業とは少し離れて、外部の視点も取り入れながら新しい成長シナリオについて議論し、それをコーポレートとしてサポートしていくことは、サービス事業転換を進めるうえでも有効である。また、CEOアジェンダ化と両輪となるコーポレート・マネジメントの観点でも、GEは、「もの売り」としての単年度売上げより、「サービス事業」としての受注残額の向上に注力するなど、事業評価の方法自体も変化させ、サービス化基盤の整備を進めている