サービス事業者に転換した3つの事例

●GEのアビエーション事業部門は、ジェットエンジンの販売・保守という製品販売から、ジェットエンジンという枠を超え飛行機全体のメンテナンスや運航計画を最適化することで、運航路線収益の最大化を実現するサービス事業へと事業ポジショニングを転換した。メーカーからサービス事業者に転換する必要があるというGEの先見性や意思表示は、2005年時点で社名をGEエアクラフト・エンジンからGEアビエーションに改称したことからも読み取れる。また、GEは、その後3年間に出荷したエンジンに関連するサービス売上高だけでも、長期的には9兆円に上る可能性があると予測しており、サービス事業転換によるポテンシャルの大きさが伺える²

●ミシュランは、タイヤやエンジンに搭載されたセンサーが収集した燃料消費量やタイヤの空気圧、気温、スピード、ロケーションなどのデータを分析・活用し、単なるタイヤの製造・販売ではなく、「タイヤ・アズ・ア・サービス」として走行距離に基づいてタイヤ使用量を課金するサービス化を実現した。また、運転手へのトレーニングを含めた運送会社向けの燃費削減支援や運行管理支援を行うなど、サービス領域にまでバリューチェーンを拡張している³

●ドイツの農機具メーカーCLAASは、IIoTを活用し、自社の農業機械をオートパイロット化するとともに、化学工業大手バイエルなど他社の天気情報、肥料特性、作物の特性や現在の需要など多面的な情報を取得・統合し、作付けスケジュールや耕耘・肥料最適化サービスを顧客に提供している。また、顧客に対して、機器自体の価値ではなく、収穫高の最大化や歩留まりの改善など農業生産性の向上という提供価値を訴求し、実際に従来の収穫と比較し、20%の生産性向上が確認されている

  一方、国内では、サービス事業者によるIIoT活用や、メーカーによるオペレーション効率化に向けたIIoT活用は進んでいるものの、メーカーからサービス事業者に転換した事例は多いとは言えない。国内でのIIoTの活用の大部分は、工場の稼働状況のリアルタイム監視や、生産ラインの稼働率監視など、自社オペレーションの効率化に留まっており、最近、電機業界の一部の企業がもの売りからサービス事業への転換に向けた方向性を打ち出し始めたが、メーカーからサービス事業者に転換した事例は少ないというのが現状だ。

2. GE Annual Report 2008 http://www.taleris.com/
3. Michelin solutions press release, July 11, 2013; Dipti Kumar, “Step on the Pedal of Cloud Services,” CruxialCIO.com, September 17, 2013.
4. 365FarmNet.com Jacob Bunge, “Big Data Comes to the Farm, Sowing Mistrust: Seed Makers Barrel Into Technology Business,” The Wall Street Journal, February 25, 2014.