これらの改革が生み出したダイナミズム

 この基準で選ばれた学生が集まると、非常に雰囲気の良い学校となる。さらにチームアプローチのケースメソッドでひたすら2年間トレーニングをすると、見事なリーダーシップを備えたチームプレーヤーが量産されることになるのだ。

 この基準で入学してくる学生は、どんなことでもリーダーシップを発揮する人たちなので、自発的な課外活動も盛んだ。課外活動で多くの学生やスポンサーを動かす経験を通じ、リーダーシップもおのずと鍛えられる。

 さて、ケロッグで培われた能力は卒業後1年でまず評価されることになる。企業の採用担当者は、毎年、採用したMBA生の現場の評価をとりまとめ、翌年の採用方針に反映させるが、その時耳にするのは「ケロッグが意外と良かったぞ。誰と組ませても上手くやって成果を上げる」という評判である。この評判が翌年のケロッグの採用枠を増やす。就職が好転すればおのずと人気も高まる。ジェイコブスの戦略が生み出した好循環である。

 校風というのは不思議なものだ。学生は2年で入れ替わり、教員ですら20年もすれば大きく入れ替わるのに、校風だけは継続してゆく。ケロッグの校風が70年代以降長年一貫して変わっていないのは、「この人とチームを組みたいか?」という判断基準を持った学生による入試委員会と卒業生の面接による入試の要素が大きいと思われる。

 どこまでが仕組まれたもので、どこからが意図せざる効果なのかはわからないが、非常にうまい循環であることは間違いがない。

(第4回につづく)

※次回は9月8日(火)公開予定

 

【連載バックナンバー】
第1回:変革リーダー、ドン・ジェイコブスの素顔
第2回:ケロッグ校が個人間の競争から脱却した理由