次回選挙もクロスビーから目が離せない

 ボリス・ジョンソンは、その独特のキャラクターで、伝統的な保守党支持層以外からも幅広く票を集めることができる、保守党の稀有な政治家である。そのボリスは、次のロンドン市長選挙には立候補しないと宣言し、市長としての任期を1年残した2015年の5月、国政の総選挙で下院議員に復帰を果たした。

 ボリスは市長を辞任していないため、任期満了を前提として、2016年の5月に次のロンドン市長選挙が行われる見通しである。保守党も労働党も、公認候補を9月に決定すると見られている。すでにそれぞれの政党内で複数の候補者が、党の公認獲得に向けてしのぎを削っている。

 次の選挙では、過去2回の中心人物であったボリスとリビングストン双方が不在という大きな変化が生まれるが、おそらく変わらないことが1つある。それは、保守党候補の選挙ストラテジストとして、リントン・クロスビーが陣頭指揮を執るであろうことだ。

 保守党のロンドン市長候補のなかで、公認獲得の可能性がもっとも高いと言われているのが、ザック・ゴールドスミス下院議員だ。

 ゴールドスミスは、公認獲得が決まるかどうかもわからない6月から、自身が公認を得たあかつきにはクロスビーを選挙ストラテジストとして迎えることを決めた。そして、その時点ですでに、クロスビーの会社の人間が非公式にキャンペーンに参加していたと言われている。

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 本連載では、かつてはオーストラリアのハワード元首相率いる自由党を、直近ではイギリスのキャメロン首相率いる保守党を、それぞれの国の総選挙で勝利に導く立役者となったリントン・クロスビーが、2012年のロンドン市長選挙でどのように戦略を構築したのかを振り返って来た。

 そのなかにはもちろん、「選挙」という仕組みや「英国」という地域に固有のものもあった。ただし、連載で取り上げたような抽象化された本質については、その多くがビジネスを成功に導くための本質でもある。日本の選挙やビジネスの文脈が日々変わるなか、本連載で紹介した考え方が役立つことがあれば、これ以上の喜びはない。