条件2:感情に訴える

「良い選挙メッセージ」の条件の2つ目は、感情に訴える点を確保することである。

 選挙に関する有名な言葉に、次のような言葉ある。

「政治において、理由と感情が衝突する場合、必ず感情が勝利する」(ドリュー・ウェステン)[1]

「人を説得するのは理由だが、人を動機づけするのは感情である」(リチャード・ワーズリン)[2]

 そして、クロスビーは「聞き手と感情的なつながりを構築できない限りそのキャンペーンが成功する可能性は低い」と説く。

 それは何も、論理や理由づけをすべて無視して感情に訴える、ということではない。政治家にはその政治信条や信じる政策があり、日々そのような政策議論をしているからこそ、時に理屈っぽく、時に「あれもこれも」になってしまう。言い換えれば、「話し手の理由」は常にそこにある一方で、「聞き手の感情」や「聞き手の政治への関心」という視点が埋もれがちになってしまうということだ。

 クロスビーは、次のように断言した。

「一般論として、有権者は政策に投票するわけではない。有権者は候補者や政党の掲げる政策を見て、候補者や政党がどのような信念や価値観を持っているか、自分を理解してくれているかどうか、候補者や政党が自分たちをどのように考えているのかを判断して投票する」

 だからこそ、有権者に投票してもらうためには、政策の「理由」も大切であるが、そこに欠落しがちな、候補者と有権者との間の「感情」的つながりがなければならないのだ。

条件3:実績と将来を提示する

「良い選挙メッセージ」の条件の3つ目は、実績と将来を提示することである。

 現職候補であれば、当然ながら、現職時代のみずからの実績を主張することが求められる。どれほど素晴らしい将来を描いたところで、実績の提示がなければ、「いままで何やっていたのか?」と疑問を持たれてしまう。逆もまたしかりだ。実績を強調するだけでは「これから何をやりたいのか?その地位に留まりたいだけなのか?」と不信感を抱かせてしまう。

 実績と将来を提示することが重要なのは、新人候補にとっても同じことだ。ただし、新人候補はその職での実績がないため、過去の異なる実績を提示しながら、なぜ自分がその職にふさわしい人物なのかを主張することとなる。

[1] (Drew Westen, The Political Brain)
[2] (Richard Wirthlin)