働き方を制度にするのは、
周りがその人に期待できる範囲を可視化するため

青野:働き方の分類はだんだん増えています。最初は残業をしない人とする人で分けていましたが、やがて「そこそこする人」という枠ができたことで3種類になりました。働く場所についても「会社に来る人」「あまり来ない人」「たまに来る人」という3種類に分かれています。3×3で9種類から選択できるようになっています。

篠田:うちの「ほぼ日」(東京糸井重里事務所)は小規模なこともあり、働く時間や場所については裁量労働制を基本にしています。基本的に水準の高いアウトプットを出せばいいので、どこで仕事をするかについていちいち問いません。唯一あるのは、お互いの連絡の都合上、どこで何をしているかだけは全社員に共有するというルールです。時間の使い方も自由なので、髪の毛を切りに行ってきますということも言う。それに対するペナルティはありません。みんなに共有してもらえればよしとしているんですね。サイボウズさんがそうせずに、制度という枠を設けているのはどうしてなんですか。そこまで明確に自立と責任を考えていらっしゃるのであれば、いちいち制度がなくてもいいような気がします。1人1人が会社や職場の責任者と合意して、それぞれの線で区切ることがあってもいいように思えますが。

青野:それは、周りがその人にどこまで期待していいかを明確にするためです。それを明確にしておけば、周りもそれをもとにその人に仕事を依頼することができます。9種類のマトリクスのどこにいるかがわかっていれば、それに応じた仕事の頼み方ができるので効率的なんです。

篠田:面白い!サイボウズさんの規模や事業の状況とのバランスの中で、これを制度にしておくことが互いのストレスを軽減し、コミュニケーションコストもなく多様性が実現できるということですね。納得しました。この『ALLIANCE アライアンス』には書いていませんが、信頼とセットの自立というテーマは大前提なんですよね。この考え方が日本でなかなか浸透しないかもしれないと思ったのも、この自立という観点かもしれません。

青野:制度は縛るためのものではなく、俺、私はこう働きたいということを表明してもらうための表現方法だと思っているんですね。