不満や欲しいものは主張する。あとでゴネるのは卑怯

篠田:どうやって自立を促すんですか。それまで何も考えていなかった人に、いきなり自立しろと言っても「はあ?」って感じですよね。

青野:そうですね。たとえば人事制度は不満が出やすいところです。人事制度ひとつ作っても、受け取り方が多様なので誰かしら不満を言う。最近はママさん向けの制度が増えていますが、そうすると独身女性から不満の声があがってくる。「ママさんはいいけど私にしわ寄せがくるのは勘弁してください」。そんなときはこう言います。「じゃあどんな制度が欲しい?」「しわ寄せが来たときに会社としてどのようなサポートをして欲しい?」「言ってくれれば考えるから、酒場で愚痴るんじゃなくて意見を出して。出したら必ず人事が拾ってディスカッションの場に上げるから」。そう言い続けていると、だんだん酒場で愚痴を言う人が減ってきます。実際に上がってくるのは検討するに値する意見が多いので、どんどん制度になっていくんです。そのサイクルをみんなの前で見せると、だんだんわかってきて、欲しいものがあれば堂々と言うことが自立なんだということがわかってくるんです。

篠田:旧来型の会社は、発想がヒエラルキーですよね。会社が上、社員が下、人事が上、ルールが上、お前ら従え、みたいな。社員は依存することを期待されるから「社宅ですか、ありがとうございます」となる。サイボウズさんはすべての社員が階層というよりもフラットにネットワーク的につながっているからこそ、一緒に作っていこうよということになるんですね。

青野:サイボウズの場合は、社内にそうしたプロジェクトが同時並行で何十本も走っています。そこには、常に最新の情報や意見が上げられてきます。

篠田:でも、意見を出すのも大変ですね。誰もが忙しいなか、自分から言う人と言わない人の温度差はないんですか。

青野:あります。ただ、言わない自由がある代わりに、あとで愚痴るのは卑怯だという感覚は持っていますね。決まったあとで「勝手に決めやがって」と言うのはおかしい。これが自立と責任だと思うんです。会社の中で起こったすべてのことに、一人ひとりが責任を持つということです。