4.「成果」の定義を拡大する

 大企業の幹部たちは、ベンチャー起業家の優れた能力に自分がいかに対抗すべきか思い悩んでばかりいる。だがそれよりも、自社で商業的に成功「しない」プロジェクトに取り組んでいるイノベーターたちにもっと配慮するべきである。考え抜いたうえでリスクをとって挑戦しても、ペナルティを受ける可能性があるならば、誰もリスクをとろうとしなくなるのは当然だ。

 イノベーションの取り組みにおいて、将来の成功は常に不確実である。したがって、ある事業アイデアが有効でないという学びが得られたならばそれは成果と言える(ただし、資源がある程度効率的に使われた場合に限る)。貴重な教訓をもたらしたプロジェクトチームに、称賛の意を伝えよう。

 5.プロジェクトの失敗を広く周知する

 これは直感に反するかもしれないが、商業的な失敗を広く公表すれば、今後の努力を鼓舞することになる。なぜなら、大胆な挑戦を促す企業でこそ最もイノベーションが起こるからだ。インドのコングロマリット大手タタ・グループは、まさにこの「大胆な挑戦(Dare to Try)」という名の賞を設けている(英語サイト)。この賞は「望ましい成果を上げなかったが、最も斬新で大胆、かつ真摯に取り組まれたアイデア」を表彰するものである。こうした努力に光を当てることにより、従業員たちは安心してイノベーションの限界に挑戦できる。結局のところ、思い切った挑戦なくして成功など望めるはずがないのだ。

 6.プロジェクトの終了を祝うイベントを開催する

 これはマグレイスによる2011年の素晴らしいHBR論文、『「知的失敗」の戦略』からそのまま借用したアイデアである。「象徴的なイベント――たとえば通夜、劇、追悼式など――を開いて、関係者に終結を実感させる」という方法だ。

 フィンランドのモバイルゲーム開発会社スーパーセルは、創業後たった3年で時価総額30億ドルとなったが、上記で述べてきたような原則に従うことの大切さを示してくれる。同社ではプロジェクトの成功はビールで祝い、失敗はシャンパンで祝う。過ちに対しては真正面から率直に向き合い、対処する。たとえば1年以上かけて開発・投資してきたマルチプラットフォーム向けの事業は、開発目標に届かなかったために中止が決定された。ゾンビ化の可能性があるプロジェクトには中止の英断を下し、担当者たちの成果については称賛する。この方法で、人員を別のより有望なプロジェクトに移せるのだ。このチームの場合、その後爆発的な成功を収めた「クラッシュ・オブ・クラン」を開発することとなった。

 ほとんどの企業には、自分たちが考える以上に経営資源が存在する。ゾンビ・プロジェクトを見つけて廃止し、その資源をもっと有望な活動に再配分すればよいのだ。そうすればイノベーションの取り組みは、すぐに改善され成長も加速していくだろう。


HBR.org原文:Zombie Projects: How to Find Them and Kill Them, March 4, 2015.