3.決断する

 変革を決断する瞬間は極めて重要である。意識を変え、これまでとは違う未来を目指すようになるのはこの段階だ。しかしここは、変化のプロセスにおける危うい通過点でもある。これまで通りのやり方に戻りたいという衝動が起こりやすく、新しい取り組みを始め持続するために欠かせない集中力を妨げる要因も多く生じるからだ。クライアントがこの段階に到達し次に進めるよう、コーチは次のように問いかけよう。

「やり方を変えようと決めたことは何ですか? それはなぜですか?」
「理想的な成果はどのようなものですか?」
「新しい目標は何ですか?」

4.具体的なステップを決める

 優れたコーチはクライアントに対して、やり方をどう変えるのか、障害をどう乗り越えるのか、必要なスキルやサポートは何かを考えさせ、口頭で述べるよう促す。次のような質問をすれば、クライアントはより効果的に目標を達成するための具体的なアイデアを見つけやすくなる。

「具体的に何をするのですか? いつそれをするつもりですか?」
「進捗状況をどう測定するのですか?」
「妨げになるものは何でしょうか? それをどう克服するつもりですか?」
「必要なサポートをどのように獲得しますか?」

5.決意を固める

 切迫感がないと決意が次第に薄れてくる。次のような質問によって、決意のほどを常にチェックするとよいだろう。

「変革の実行が、当初考えていたよりも困難な場合はどうしますか?」
「最初のステップとして何をするつもりですか? それに続くステップは?」
「切迫感をどのように維持するつもりですか?」

6.継続する

 小さな進捗のたびに励ましを与えれば、勢いがついてくる。ことあるごとに声援を送り、クライアントの成功を称えれば、自信を深め、後退を防ぐことができる。そのために重要なのが以下の質問だ。

「新たに始めた行動は、あなた自身や他の人にどんな影響を与えていますか?」
「どんな達成を誇りに感じていますか?」
「変化に勢いをつけるための、もっと賢明な方法はあるでしょうか?」
「あなたの行動意欲を高めるために、私は(コーチとして)何ができるでしょうか?」

 ピア・コーチングを施すこと、受けることの両面で上達するためには、ある程度の努力を要する。この必要不可欠なスキルを生まれつき持っている人はほとんどいない。しかし他のスキル同様、訓練による習得が可能だ。リーダーとしてチームにピア・コーチングの基盤を築くことで、メンバーを力づけることができ、彼らのスキルを増やすことにもなる。そして私生活と仕事の両面での向上を促し、ひいては組織によい影響をもたらすことができる。コストはかからず、楽しさもあり、見返りの多い取り組みなのだ。


HBR.ORG原文:How to Get Your Team to Coach Each Other March 13, 2015

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スチュワート・フリードマン(Stewart D. Friedman)
ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの経営学教授。同校のリーダーシップ・プログラムおよびワークライフ・インテグレーション・プロジェクトの創設ディレクター。過去にはフォード・モーターのリーダーシップ開発センターでディレクターを務めた。著書にTotal Leadership: Be a Better Leader, Have a Richer Life(邦訳『トータル・リーダーシップ 世界最強ビジネススクール ウォートン校流「人生を変える授業」』講談社、2013年)などがある。