これまでインドフードは国内展開が主体だったが、近年急速に海外シフトを強めている。その海外展開は、短い期間に次々に異なる地域へ展開対象が変わっていくのが特徴である。その背景には、自社が「どのような市場セグメントなら勝てるのか」を強みとして明確に定義し、その強みが通用する中で競合が弱い市場を選んで先行参入する戦略方針がある。同社の強みとは、低コスト・安価で一定の品質があり新興国市場に強い商品づくりと、イスラム教のハラル基準にも対応した生産プラットフォームである。

 インドフードは最初の段階で、まず隣国で同じイスラム教国であるマレーシアに生産拠点を展開し、東南アジアに進出した。同時に、自国からの出稼ぎ労働者が多い中東などで、家政婦として働く自国民が母国で圧倒的なブランドを好んで購買し、その味が家庭に広まるなどいわゆる「ディアスポラマーケティング」も活用し輸出で飛び地を攻略していった。

 その後は、強みが生きる途上国の中でも、将来的な経済規模が大きいが、競合がいまだ空白の国にピンポイントで狙いを定めて先行参入するモデルを貫いている。特に、競合に先駆けて生産拠点を本格展開したナイジェリアでは、即席麺市場を開拓しシェア7割を確保している。

 さらに輸出で認知度を高めた市場であるサウジアラビアの企業と共同出資した販売会社をセルビアに展開し、東欧市場(マケドニア、ブルガリア、ルーマニア)に輸出販売を行ってきた。2014年にはセルビアに16億円を投資して工場を建設し、2015年の稼動を目指している。また、ケニアに8億円を投資して工場を設置し、アフリカ東西の主要市場で安定供給を目指すほか、中央アジアのカザフスタンにも工場投資を行う計画を進めている。

 これらの進出は、地理的には一見関連性の無い市場ばかりを狙った、粗暴な投資に見える。しかし、やみくもに進出しているように見えても、背後には「強みが活きる市場で競合より先に勝負する」という自社独特の勝ちパターンの構築が明確に意識され、そのために速いスピードで次々に展開することが可能となっている。

 インドフードのような企業の海外展開の核にあるのは、「自らの強みを固定したMarket seeking」という行動原理である。彼らは自社の強みを定義し、定めた勝ちパターンがそのまま通用する市場を求めて海外展開する。

 日本企業も同じように、国内で培った強みや商品をそのまま活かして海外展開を目指す傾向が強い。しかし、所得水準や文化が日本と大きく異なる新興国などの市場では、そのまま強みを輸出しても限られたニッチ市場しか獲得できない。したがって、単なるMarket seekingを越えた戦略行動がどうしても必要となる。

強みを進化させる
拡張性の高い海外展開

 そこで重要となるのが、「可変性」の第2のパターンである、自社の強みの蓄積に応じて、同じ事業を展開する中でも海外での勝ち方を進化させていく形である。それを理解するには、フィリピンから海外展開を加速する、外食企業ジョリビー・フード(以下ジョリビー)の例がわかりやすい。