では、どうすれば会議の場で、物静かで思慮深いメンバーの持ち味を最大限に引き出せるのか。一部の企業の慣行が参考になる。たとえばアマゾンでは、すべての会議が静寂から始まる。話し合いを始める前に、会議の議題について書かれた6ページに及ぶ資料を20~30分かけて全員で黙読するのだ。CEOジェフ・ベゾスがこのやり方を導入したのは、従業員が事前に送られた会議資料をほとんど読んでこないことに気づいた時だという。一緒に黙読することで、全員が目の前の問題に集中できるわけだ。

 しかし真の効果は、会議が始まる前に表れている。すなわち、担当者が「ナラティブ」と呼ばれる6ページの資料を書いている時だ。この資料ではストーリーを伝えることが義務とされている。まず解決すべき問題を示し、最後は解決策やイノベーション、顧客満足で締めくくるのだ。そのストーリー構成が会議を方向づける。担当者は資料を書くことで、何を問題提起したいのか徹底的に考え、難しい課題について時間をかけて頭を悩ませることで、説得力がある議論、もしくは少なくとも明快な論旨を構築できるのだ。会議でのパワーポイントの使用をベゾスが禁じたのも驚くに当たらない。単純で曖昧な、箇条書きによる理論を排するためである。

 このような構成のしっかりした資料を書くには、明晰な思考が問われる。したがって、内向性・外向性のレベルが異なるメンバーに機会を等しく与えるという意義も果たされる。書くという義務を取り入れることで、自制心や内省が生じ、それが効率的な会議と全員参加の意思決定につながる。時間をかけて資料を読んだ後、メンバーは有益な意見交換に集中できる。全員が共通の理解を持ち、データやさまざまな気づきを掘り下げることができる。そして最も重要な点は、有意義なディスカッションができることだ。このプロセスによって内向的なメンバーは、時間をかけて意見を組み立てることができる。それを他者と共有するだけの勇気を奮い起こす時間も持てる。また外向的なメンバーにとっても、他者の話に耳を傾けて熟考し、口数の少ない同僚の考えを受け入れる機会となる。

 会議の方法をもっと吟味すれば、高い成果を導くうえで大いに有益となる。そしてマネジャーは、外向的なメンバーのみならず内向的な人の強みも引き出せるようになるのだ。


HBR.ORG原文:Introverts, Extroverts, and the Complexities of Team Dynamics March 16, 2015

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フランチェスカ・ジーノ(Francesca Gino)
ハーバード・ビジネススクール教授。経営管理論を担当。著書に『失敗は「そこ」からはじまる』(ダイヤモンド社)がある。