かたや内向的なリーダーは、部下の意見に自然に耳を傾け、その内容を慎重に検討する。この調査結果は、「支配の相補性(dominance complementarity)」という現象に関する多くの研究結果と一致する。チームにおける支配的なメンバーと従順なメンバーのバランスが良いほど、全体の結束力と能力が高まるのだ。

 ここから示唆されるのは、外向的なリーダーは部下が受動的であればチームの成果を高めることができ、部下が能動的であれば成果が上がらないということだ。私はこの仮説を検証すべく、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのアダム・グラント、およびノースカロライナ大学チャペルヒル校のデイビッド・ホフマンと共に、アメリカの宅配ピザチェーンで調査を行った。チェーンの店舗はどこも非常に似通っているため、上司の外向性とスタッフの能動性に店舗業績が左右されたかどうかを測定する機会が自然に整っているのだ。

 外向的な上司の影響のみを抽出することを目標に、57店の収益性を比較するというのが調査内容だ。最初に各店舗の上司の外向性を、主張の強さ、冗舌さ、大胆さ、活力の観点から評価した。これに加え、各店舗当たり平均6~7人の従業員にアンケート調査を行い、チームとしての能動性を尋ねた。改善の提案、店舗の戦略、より良い業務プロセスの構築、等にどれくらい関与しているかを答えてもらった。その後、7週間にわたり各店舗の利益を追跡した。上司のコントロールに関連しない要素、たとえばピザの平均注文単価や従業員の合計労働時間などについては、統計的に調整を行った。

 その結果、上司が外向的で従業員が受動的だと利益が有意に高く、従業員が能動的だと利益が有意に低いという相関が見られたのだ。従業員が受動的で上司が外向的な店舗では、内向的な上司の場合よりも利益が16%高かった。ところが、従業員が能動的で上司が外向的な店舗では利益が14%低かった。予想どおり、外向的な上司にとって受動的な部下は有利となり、能動的な部下との組み合わせは不利であった。

 これらの結果からは、内向的な人もまた、みずからの強みを生かして他者の能力を引き出せることが窺える。ところが職場の構造によって、内向型人間の強みは封じられていることが多い。会議を例に取ってみよう。典型的な会議では、声高らかに数多く発言したほうが勝ちという構図がしばしば見られる。オープンスペースのオフィスで机と机がくっついて並んでいる職場、強い自信とカリスマ性と社交性が重んじられるような文化では、内向的な人は“合格点”が取れるように自分を変えなければならないと感じることが多い。しかし、その行為は代償を伴い、ひいては会社にも悪影響を及ぼすことになるのだ。