2:選挙もビジネスも、戦略がなければ成功はない

 人気のある候補者と良い政策や良い製品・サービスだけでは成功が保証されないということも、選挙とビジネスに共通している。それらに加えて、紙に落とされた効果的なキャンペーン戦略やブランド戦略があり、それに沿って一貫して実行するコミュニケーションがあって初めて、ビジネスも選挙も成功を手にすることができる。

 やみくもに政策や製品をアピールしても、そもそも、聞いている人の大半は投票をしないかもしれないし、その製品カテゴリを購入しない人かもしれない。有権者や消費者にとってそれほど重要ではないことをいくら訴求したところで、効果は期待できない。さらには、適切なターゲットに効果的なメッセージを構築したところで、それが有権者や消費者に届かなければ意味がない。

 ビジネスにおいて、こうしたブランド戦略に失敗した事例は数えきれないほどあるだろう。だが、そうした事例は通常はそのまま消えていくため、なかなか表には出てこない。

 ただし、一度失敗して、再挑戦で成功した事例はある。一例として、ユニクロの英国進出を挙げたい。

 ユニクロが、2001年に英国に最初に進出した際に、大量閉店に追い込まれた。その失敗から、「『高品質でベーシック』というブランドコンセプトの発信拠点となるグローバル旗艦店戦略が不可欠であること、さらには徹底的なブランディングが欠かせない」ことを学んだと、柳井氏はその著書『現実を視よ』で記している。つまり、その失敗の一因として、ユニクロのメッセージが消費者に届いていなかったことを挙げているのだ。

 冒頭で触れた2012年のロンドン市長選挙はまさに、ボリス・ジョンソンという人物や現職候補としての実績・政策に加えて、キャンペーン戦略とそれを一貫して実行するコミュニケーションが伴って当選を勝ち得ることができたケースである。