“鍋”に“ワンダーランド”。
この土地に根づいた仕事への思い

 今度は描き上がった絵を、3人とKUNIさんで鑑賞します。モデレーターは、このワークショップを運営しているホワイトシップの長谷部貴美さん。まずは、斉藤さんの絵から。御手洗さんの感想は、「あったかい、ほんわか、しょうゆ、母、やさしい、やわらかい、広い」。

「もっと吉太郎くん個人の思いが強く出るかなと思っていたら、それよりもファミリーとしての斉吉のイメージがそのまま絵になっていて、感動しました。『金のさんま』を炊いてるなあっていうか、この絵からは、『みんなおいで』『おいしいのをたんと食べてください』という広くて大きい想いが伝わってきます」(御手洗さん)

 宮井さんの感想は、「今から上を目指そうという感じがしますね。土台があって、白い部分が上に上がっていく。これから芽吹いて、自立してやっていこうという想いがあるんじゃないかという気がしました」。

 KUNIさんは、白い部分が「湯気」に見えたそう。

「食事をしているような感覚。すごく平和で、おだやかで、ぬくもりがある。斉藤さんがそういうものを作りたいと思ってるのかな」(KUNIさん)

 これらの感想を聞いた斉藤さんは「もう、だいたい皆さんが言ってくれたような感じです」と笑い、「タイトルは『鍋』です。僕が大事だと思っているのは、まず会社の皆が健康であること。僕は斉吉に戻ってくる前にお菓子の会社で働いていたのですが、そこでもすごく感じたのは心身ともに健康じゃないとおいしいものはつくれないということだったんです。そして、下に安心感のあるものをおいて、鍋からいろんな人が来たくなるような空気が出ているような、そんなイメージで描きました」と発表しました。

 宮井さんの絵に対する斉藤さんの感想は、「5人いたら真ん中の人という感じ、旗みたい、エネルギーと真面目な感じの両方がある」。

「宮井さんは実際、皆の中心にいつもいるんですけど、そういう方が描いた絵だなあと思いました。赤というのも、戦隊物だと真ん中にいる人の色ですよね。あと、僕の絵はけっこうぼわっとしてるんですけど(笑)、赤を消すくらい白が強かったり、会社のロゴが入ってたり、象徴的で男らしい感じがします」(斉藤さん)

 御手洗さんは、「歩いたら楽しそうな町だな、と思いました」という言葉から始め、「すごく動きがあって、知らないものにも会えそう。整然と計画されてる町じゃなくて、なんだかがちゃがちゃしてるんだけど、いろいろなおもしろいものが飛び出てきそうです」という感想。

 KUNIさんの感想は「NIPPONチャチャチャ!、元気を運ぶ」。その意図は?

「左上の日の丸みたいなのから目が離せなくて、出てきた言葉が『NIPPONチャチャチャ!』だったんです(笑)。ワールドカップやオリンピックなど、祭り的なものを全体から感じました。元気を運ぶというのは、真ん中の白い線が道に見えて、逆さまから見ると人が笑ってる顔に見える。どこに行っても元気があふれてる、という感じがしたんです」

 さて、宮井さん自身は、この絵にどういった思いを込めたのでしょうか。

「自分の人生においてなにを大切にするか考えた時に、町の幸せを願う、子どもたちにいつでも笑顔をプレゼントしたい、この2つのことが頭に浮かびました。白い線はBEXIのロゴマークです。震災からここまできたのは、全部人とのご縁があってのことなので、このマークは入れたいと思いました。で、どの角度からも意味がある絵にしたくて、右上に星を飛び出させて、楽しいことをBEXIから発信していきたいという思いを表現しました。あと、普段は仕事が忙しすぎるので、家族も大切にしないと思いまして(笑)。STAというのは嫁と子どもたちの名前の頭文字なんです。で、僕は日本一のタクシー会社を目指しているので、左上に日の丸を入れました」

 たくさんの思いを詰め込んだ絵は「かずおワンダーランド」と名付けられました。

 最後は御手洗さんの絵です。

「さすがニッティング! たまちゃんらしい、明確な意志が出ています。きれいで、きっちり冷静な感じ」(宮井さん)

「重ねていく価値が増していく、という印象を受けました。次の代に継がれる服ということを考えて商品をつくってらっしゃるから、買ってからどんどん使っていいものになっていく、みたいな。そういう重なっていく奥行きみたいなものを感じました」(斉藤さん)

「木漏れ日が差し込んでる森のなかを歩いているような。真ん中の黄色いところは、希望なのかな」(KUNIさん)

 スプレーを多用して、きれいに重ねられた御手洗さんの絵の全貌とは? 御手洗さんの描いた絵、それに込めた想いは、HBR9月号に掲載されます。