篠田:わかります。人に迷惑をかけてはいけないという圧力がものすごくある。

尾原:迷惑をかけられないから頼れない、頼れないから信じられないという悪循環に陥っています。篠田さんがおっしゃるように、人は生来信頼したり信頼されたり、したがっているのはその通りだと思いますが、放っておけば動き出すものではないと思うんですね。

篠田:アライアンスを志向していない会社や個人が変わる可能性はありますか。私個人としてはあると思っていますが、会社は信頼とはほど遠いように見えます。会社が信頼を志向する方向へ動く可能性はないのでしょうか。

尾原:大事なのは、頼ることを実感させることですね。なぜピラミッド型の社会からボトムアップ型の社会に変えなければならないかというと、激しく変化する時代には、最も変化を知っている最前線が自律的に判断できないと勝てないからです。ただ、現場が個人で判断しているだけでは組織の意味がなくなってしまいます。現場の個人が判断しながら会社としての個性も出すには「シェアード・バリュー」という考え方が大事になる。シェアード・バリューについて考えると、多様性に戻ってくるんです。

 自分にはない強みを持っている人に頼れるようなカルチャーができれば多様性のよさも伝わり、アライアンスが日本企業に入る可能性はあると思いますよ。ただ、最後のハードルはピラミッド型の権益を捨てられるかどうかです。ピラミッド型社会では頂点に近い人ほど安定します。でも、安定しているうちに茹でガエルで死んでしまうということを認識できるかどうかですね。

篠田:会社が多様性を積極的に受け入れるようになると、個人とアライアンスを結ぶことが納得できる解に近くなってくるように思います。

尾原:アライアンスのような考え方を日本に入れようと思ったら、最初は極端に振らないと難しいと思います。まずは多様性を楽しむという発想を植えつけることでしょうね。ただ、最近は多様性が格好いいと言わないと格好悪いという雰囲気になりつつあります。あと3年もするともっと自然にそうなっていると、僕は楽観的に考えています。

 

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