ほかに酒類、特にビールの世界でも、同じように急速なグローバル統合がこの10~15年で現実のものとなっている。ビールは鮮度維持の必要もあり、また地域ごとに微妙に嗜好も異なるため伝統的に地産地消となりやすく、各地で企業が自国市場をおさえる構造が長く続いてきた。

 しかし、買収と統合によるグローバルメガ企業の誕生とともに、国境を越えて成長市場を奪い合う過酷なグローバル競争に突入した。日本企業も、一定の規模を持つ日本市場での強みを生かして海外に積極展開していったが、トップの背中は遠のいた状況にある。

出所:Bloombergよりデロイト トーマツ コンサルティング作成
*グラフのキリングループはソフトドリンク・医薬品など他の事業も全て含めた数値。

 この市場では世界トップ企業のアンハイザー・ブッシュ・インベブの源流はブラジル企業であり、2位のSABミラーも南アフリカ発祥で、新興国企業の血脈が世界を制しつつある。両社とも本社を欧州に移転しているが、その出自は純粋な新興国企業である。

 アンハイザー・ブッシュ・インベブはブラジルの投資業ガランティアグループが、 1980年代に同国で100年の歴史を持つブラマを出資救済したことから出発する。厳格な手法で経営合理化と建て直しに成功した後、同社はアンタルチカと統合しブラジルのトップ企業アンベブを形成した。その後、欧州のインターブルー、米国のアンハイザー・ブッシュと立て続けに巨大な企業統合を成功させ、世界トップの地位を確立した。先進国を中心にグローバルおよびリージョンブランドを多数確保し、圧倒的な規模を生かして世界でベストな統一的手法を模索・確立する志向が強い。ガランティアの総帥はブラジル第1位の資産家であり、同社は現在もさらなる買収に貪欲な姿勢を隠さない、野心的な資本家としての顔を見せている。

 SABミラーは19世紀末に南アフリカで創業し、買収を重ねて急成長した世界2位のビールメーカーである。80近い国・地域で展開、ほぼ9割の国で1-2位のシェアを持つ。1994年の同国の民主化を契機に国際展開をスタートし、売上の3分の2近くをアフリカ、南米、中国など新興国で稼ぐ、新興国に強いポートフォリオを持つ。強いローカルブランドを多数抱え、その連邦として経営する姿勢が比較的強く見られる。アフリカでは、コカ・コーラの最大のボトラーでもある。