日本企業を圧倒する新興国企業の勢い

 世界のトップ250に入る新興国企業の顔ぶれを見てみると、多くが日本市場には本格展開しておらず、日本では一般になじみがない。しかしいずれも、世界で有数のポジションを築いた、トップクラスの企業である。

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出所:Deloitte “Global Powers of Consumer Products 2015”

 これらの企業は、日本企業と比べてどの程度のレベルにある存在なのだろうか。

 消費財の中でも身近な商材である食品・飲料を扱う企業を題材に、代表的な日本企業と新興国企業を比較すると、共通したトレンドがある。以下、いくつかの主要セクターでのこの10年と代表的な新興国企業を概観したい(*3)

 たとえば食肉加工の分野では、2000年代初頭には日本企業を含む先進国企業がそれぞれの母国市場をおさえ、トップ企業として国ごとに割拠していた。当時の新興国企業は零細で分散しており、海外展開を進める段階でなく、主に自国でサプライチェーンの川上のみを司る存在だった。しかしその後、新興国で急速に市場成長と統合が進み、米国・欧州・豪州など先進国企業までが買収で次々に彼らに呑み込まれていく。各社は、現在ではグローバルに展開し川下の加工食品まで強い事業を持つプレイヤーとなっている。

出所:Bloombergよりデロイト トーマツ コンサルティング作成

 その中で首位の座にあるJBSはブラジル・サンパウロに本社を持つ、売上高で世界最大の食肉加工メーカーである。1953年に同国ゴイアス州で小さな肉屋として創業した家族経営の企業だが、買収を重ねて急成長した。現在は拠点20カ国以上、販売先150カ国以上、従業員20万人以上を抱え、牛・豚・鶏・皮革に加え加工食品にも展開する、世界トップメーカーに成長した。

 同社は売上の大半(8割以上、従業員は6割強)を海外であげている。その圧倒的な成長スピードと高い利益率は、BRFやマルフリグなど同じように買収を重ね成長してきた同国のライバルさえ圧倒している。

*3 いずれの企業もグラフには複数の事業を含む全社数値を使用している。なお、ここで挙げた新興国企業はいずれも、主要事業の全体売上に占める比率が8割を超える。