2.デマへの言及を繰り返すことで、そのデマを期せずして広めてしまう

 デマを払拭しようとして言及を繰り返すことは、2つの行為を意味する。まず、それまでデマを知らなかった人々にまでその情報を知らしめることになる。すると新たに知った人々の最大40%が、そのデマを信じてしまうのだ。次に、デマへの言及を繰り返すことで、意図せぬうちに「誤った主張を推奨する」ことになってしまう。

 こんな研究がある。高齢者にある文言を1度だけ示し、「この情報は誤っている」または「正しい」と告げた。3日後に記憶を確かめたところ、誤情報の28%を「正しい」とする記憶違いが見られた。ところが、文言を1度ではなく3度繰り返して示したところ、誤情報を正しいとした記憶違いは40%に急増したのだ(英語論文)。つまり、誤った情報を繰り返すことは、たとえそれを否定する目的であっても逆効果になるということだ。

 3.相手を肯定することは効果的だが、実行は難しい

 私たちは通常、間違った事実を信じている相手に対して、敬意を示すのではなく攻撃したくなる。しかし、ナイハンとライフラーによる誤解と訂正についての研究では、誤解している人に自己肯定感を高める訓練を受けてもらうと、正しい情報を受け入れる傾向が高まった。つまり、相手の考えを改めるには、当人に気分を良くしてもらうほうが成功率が高まるということだ。

 MMRワクチン論争における二極化の一因は、子供たちにワクチンを受けさせなかった親への中傷にある。ワクチン推進派がやるべきなのは反対派への攻撃ではなく、彼らもまた子供を愛する親なのだと認め伝えることだ。反対派を愚かで変人だと見なせば、科学に基づいた議論は困難になるばかりだ。

 4.ストーリーの力を常に過小評価してしまう

 オーストリアの心理学者フリッツ・ハイダーは1940年代に、今ではよく知られた研究を通じて、物語を作ることの重要性を明らかにした。ハイダーは、2つの三角形、1つの長方形、1つの円だけを用いたシンプルで短いアニメーションを制作した。これを見た被験者は1人を除き全員が、図形の動きから恋愛やいじめを描いたドラマの筋書きを読み取った。人間にはストーリーを欲する傾向があり、それがない場合にはみずから作り出そうとするようだ。

 MMRワクチン論争では、反対活動の中で多くのストーリーが紹介されてきた。その内容はさまざまだが、どのストーリーにも主役と悪役が登場し、事実の隠ぺいや歪曲が図られる。