女性が働きやすい職場づくりのためには、業務の進め方も変える必要がある。いかに残業を減らすか、その実現のための現在の業務工程の見直しなど、考えるべきことは多いはずだ。

 これらは一部だが、女性がもっと活躍する職場づくりに向けて、多くの欧米系グローバル企業は戦略的、包括的な施策を実行している。翻って、日本企業はどうだろうか。私の目には、とても本気でやっているようには見えない。

経営層の積極的な関与はあるか
KPIを決めモニターしているか

 日本の大企業で目立つのは、ダイバーシティ推進室などの部門を設けて女性や外国人社員をサポートするケースだ。こうしたチームによる個々の施策はそれぞれ重要だと思うが、問題はトップマネジメントの姿勢にある。推進室長を女性が務めているところは多いが、権限も与えずにポーズだけ取り繕っているということはないだろうか。

 日本企業のダイバーシティへの取り組みを見聞きすると、ときどき「専門の部署をつくるくらい、当社は頑張っています」とアピールすること自体が目的ではないかと疑いたくなるケースもある。あるいは、アリバイというべきか。

 経営トップが積極的に関与し、マネジメントチームの中から実行のリーダーを任命している日本企業はどれほどあるだろうか。部門ごとに女性比率などのKPIを持ち、それを部門長の評価や報酬と連動させている日本企業はほとんどないのではないか。少なくとも、私は聞いたことがない。

 また、「長時間頑張る社員、残業をいとわない社員が昇進する」という評価や報酬の仕組みも依然として残されたままだ。深夜に及ぶ業務が連日続くような職場環境は、それ自体が女性排除のメッセージである。このことを、経営者は強く認識する必要がある。

 本気で女性を登用したいと考えるなら、業務スタイルや評価制度にもメスを入れなければならない。評価制度は、パフォーマンスベース(成果主義)にシフトしていかざるをえないだろう。

 女性の活躍をサポートするなら、組織デザインをトータルで見直す必要がある。人事部長やダイバーシティ推進室長の努力だけでは、限界があることは明らかだろう。そこには、トップの確固たる意志と戦略がなければならない。

 日本企業の大きな問題は、戦略から組織デザインへの落とし込みにあるのではないか。「女性が活躍できる職場づくりを進め、競争力を高める」と口では言っていても、そのロジックが経営者の腹に落ちていないように見える。

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図 組織パフォーマンスモデル

 図で示したのは、デビッド・ハナ(米国の組織開発コンサルタント)の組織モデルである。ビジネス環境からビジネス戦略が導かれ、戦略に則った組織デザインが生まれる。さらに、組織デザインは組織の文化や行動を規定し、それがビジネスの結果に反映されるという流れだ。

 ビジネス環境は、時代とともに変化する。戦略は、その変化に対応したものでなければならない。組織の構造や評価制度などは頻繁に変えるようなものではないが、何十年も同じ姿のままで維持すべきものでもない。世の中の変化のスピードはますます速まっているのである。