課題3:不足しているデジタル人材とリソース
 現在マーケティングに携わっている人の多くは、既存のマーケティング概念に基づいて育成されてきた人材である。残念ながら、デジタルテクノロジーに関連する知識とそれを活かしたマーケティングノウハウを持ち合わせているケースは少ない。

 デジタルテクノロジーの活用には、豊富なデータを逐次分析し、インサイトを得るためのデータ解析力や、フォーマットの自由度が高いメディアで生活者に選んでもらえるコンテンツを作成するスキルといった、今までとは異なる人材・スキルが必要とされる。特に、クリエイティブの領域は外部パートナーを活用している企業が多いが、真にデジタルをベースにしたクリエイティブプランを策定できる人材は、それを専業にしている広告会社であっても少ない。

 また、既存のリソースでは対応できないオペレーションも問題となる。例えば、ソーシャルメディアでは、生活者は自身の都合のいい時間に途切れることなく接するため、効果的なエンゲージメントを行うためにはリアルタイムでの対応が求められる。ある酒造メーカーのCMOは、以下のように自社の例を共有してくれた。

「我々の扱う製品では、消費者が最もアクティブにコメントしたり、情報を共有したりするのは金曜の夜なんだ。今までのチームリソースでは対応が難しかったが、その時間だけ特別に活動してもらうチームを新たに立ち上げ、リアルタイムにブランドの情報や特別なコンテンツを配信したら、とてもレスポンスが良かったよ。」

課題4:組織に取り込むことを難しくしているデジタルの複雑性
 経営幹部の中で、自分自身が常に最新のデジタル機器を使いこなし、あらゆるデジタルメディアに接している人がどれくらい存在するだろうか。現代の生活者の行動様式やテクノロジーの進化を肌感覚として理解できている人は、多くないのではないか。

 デバイスの種類や各デバイス上で使われるサービスの種類など、生活者とブランドの接点が細分化され、生活者にリーチする手段も多様化している。自身が頭では理解していても肌感覚として理解できていないデジタルに対して、多様な選択肢の中からどこから取り組むべきかという優先順位をつけることは非常に難しい。

 デジタルテクノロジーは日進月歩で進化している。常に最新の動向をとらえ自社の活動も柔軟に変化させてゆくことが求められており、これで終わりということもない。継続した変化がさらなるチャレンジでもある。