バイアスをデジタルのターゲティング能力で取り除く

 ここで読者の皆さんに安心していただきたいのは、デジタルテクノロジーの進化は日進月歩であり、効果測定における正確性に関する問題も解決できるようになってきたことだ。

 オンライン広告の1つ目の利点は、誰がどの広告に何回接触したのか、ユーザーの記憶ではなく実行動の記録(ログデータ)として広告接触を正確に確認できるメジャーメント能力にある。そして2つ目の利点は、誰にどの広告を配信するのか正確にコントロールできるターゲティング能力である。メジャーメントとターゲティングという、異なるように見える2つの利点だが、実は同じ技術的基盤の上に立っている。それはCookieやADIDなどと呼ばれる、匿名性を維持しつつも個別のユーザーを識別するためのデジタル技術である。

 CookieやADID自体を見ても、それが具体的に誰なのか現実の個人(例えば、Aさんという個人)を識別することは決してできない。しかし、この技術を使えば、その人が以前にも自社の広告に接触したことがある人なのか?自社のウェブサイトに訪問したことがある人なのか?など、その人の過去の行動を計測(メジャーメント)することができる。

 一方、この同じ技術の使い方を変えれば、5回以上広告に接触した(と計測された)人にはそれ以上広告を配信しない、あるいは自社のウェブサイトに訪問した(と計測された)ユーザーにだけ広告を配信するというターゲティングが可能になる。

 そして、誰に何が配信されたのかというメジャーメント能力と誰に何を配信するのかというターゲティング能力を組み合わせると、先述の見せかけ上の広告効果をプラスに見せる一連のバイアスを除去することができるのだ。

 まず、広告の接触状況がユーザーの記憶ではなく行動記録として正確に把握できるので、キャンペーン終了後、広告接触した人々に対してアンケートを行えば、記憶バイアスのない彼らのブランドに対する本当の反応が明らかになる。次に広告効果を検証するために必要なことは、それを何と(あるいは誰と)比較するかである。キャンペーンのプレ・ポストで比較するのか?それとも広告の非接触者と比較するのか?しかし、季節性バイアスやメディアバイアスがあるので、答えはいずれも「NO」である。

 ここでターゲティング能力が非常に重要な役割を果たす。最初にユーザーをランダムに2つのグループに分け、1つのグループには自社の広告を配信し、もう1つのグループにはそれとは異なる広告(ダミー広告)を配信する。その際、両グループとも配信時期・媒体種類・性別年代ターゲティングなど諸条件を同じ設定にしておく。そうすると、この2つのグループの差異は、自社広告の接触者かそれともダミー広告の接触者かだけになり、季節性やメディア特性などそれ以外の差異は全くない完全に同質なグループとなる。もしこの2つのグループの広告接触者の間でブランドに対する認知や好意、購入意向に違いが見られれば、それは明らかに広告接触による効果ということができる。

 現在、グーグルではこれを広告効果測定の最も正確な方法として推奨しており、グローバルに共有された最低限クリアしなければならないスタンダードとして定着している。また、グーグルのマーケティングチームだけではなく、すべての広告主がこのようなハイスタンダードな効果測定をできるよう、広告効果測定のためのプロダクト開発にも注力している。