複雑な状況がシンプルな考えを生む

 構造がシンプルな状況では、シンプルに考える重要性は取沙汰されません。そもそも考える重要性が低く、実行に移すのに何ら迷いがない状況です。環境変化が早く状況が複雑な場合、そのまま複雑に考えていては、すべてが後手に回ります。本質的なこととそうでないことを瞬時に見抜いて判断していかないと、対応できない状況です。そういう状況を五万と経験されてこられたからこそ、「シンプルに考える」ことができるようになられたのではないでしょうか。

 森川さんと似た思考の経営者として、ライフネット生命の出口治明会長とカルビーの松本晃会長が頭に浮かびました。

 お二人ともおっしゃることが実にシンプルです。以前、出口さんにアポを入れる優先順位をどう決められるか伺ったら「お話しが来た順です」と素っ気ないほど単純でした。松本さんに企業でやってはいけないことを伺ったら「倫理に反することだけ」と反論の余地のない明解なお答えでした。そして、お二人ともお仕事が早い。即断即決で対応してくださいます。

 森川さんの本を読んで「シンプルに考える」コツを学ぶことができます。そして、さらに重要なのは、自分を複雑な状況に置いてそこで瞬時に判断する経験を積むことこそ、シンプルな思考が会得できるのではないでしょうか。仕事を素早く片づけることの、もう一つの重要性がここにあります。

 話が逸れましたが、『シンプルに考える』は仕事や経営に大切なエッセンスが凝縮されています。何度も読み返したいバイブルのような本です。(編集長・岩佐文夫)