これらの結果は、つまるところ次の事実を示している――ロボットと仕事の問題は、マクロな経済や社会の観点からのみ語られるべきではなく、きわめて複雑なマネジメントの問題でもあるのだ。ケンブリッジを本拠とするボランティア団体のフューチャー・オブ・ライフ・インスティテュートのように、ロボットの倫理的な製造と利用に関する土台づくりを進めている人々がいる。しかし職場でのロボットの利用についても、同様の検討をすべきと思われる。つまり、ロボットを倫理的に管理する方法、そしてロボットに人間を倫理的に管理させる方法だ。

 ノートンとウェイツが論文の末尾で指摘しているように、人間は結局のところ、人工知能に愛着を持つ傾向が非常に強い。1960年代にMITのジョセフ・ワイゼンバウムは、人間とチャットでやり取りできるコンピュータ・プログラムのイライザ(ELIZA)を開発した。イライザはカール・ロジャースの心理療法を模倣して答えを返すことができた。たとえば、相談者が母親に嫌われていると打ち明けると、「家族で他にあなたを嫌っている人は誰ですか」などと返答した。

 ワイゼンバウムは2008年にこの世を去った。ニューヨークタイムズ紙の訃報記事によれば、彼は「学生やその他の人たちがプログラムとの会話に夢中になり、時に個人的な事情を打ち明けていることを知って、愕然とした」という。会話の相手が生身の人間ではなかったことを知らされた後も、彼らはほとんど変わらぬ愛着をイライザに抱き続けた。

 後年、ワイゼンバウムは人工知能を批判する1人となった。人間にしかできないことは何か、そして人々はどの仕事ならばロボットによる代行を許容できるのかについては、今も曖昧なままだ。イライザの例を振り返ってノートンは言う。「これこそまさに人間の心の知性が必要だ、と考えられている仕事でも、研究によってロボットに代行させる方法が見つかるかもしれません。最も感性を要する仕事でも、その例外ではないのです」


HBR.ORG原文:How We’ll Really Feel if Robots Take Our Jobs January 16, 2015

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グレッチェン・ガベット(Gretchen Gavett)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のアソシエート・エディター。