それぞれのクラスターについてわかったことの一例を紹介しよう(注2)。「飲みたい時にバラエティ志向」クラスターは、食に対するこだわりが強く、グルメ情報に敏感。新商品情報を積極的に取り込み、試してみる傾向が強かった。また、「週末まとめ買い」クラスターは、年齢に関わらず世帯年収が高めである一方、将来への不安感が強く、お金を使うことに慎重である。ただし、売れ筋には敏感に反応するという特徴があった。

 また、この7つのクラスターを俯瞰して見ると、アルコール購買者の20%に満たない2つのグループ「高頻度 大量買い」クラスターと、「飲みたい時にバラエティ志向」クラスターが、アルコール購買者の総購入容量の半分を占めていた。一方で、「月1低アル」クラスターは、意識調査では「アルコールは買いません」との回答が多いが、実は低頻度ではあるが、アルコール飲料を買っている事実が浮き彫りとなった。

 となれば、購入容量の大きい2つのグループへのアプローチはもちろんのこと、残りのグループに「お酒を飲む」こと自体の中長期的な価値をいかに形成するかという必要性も考えられるだろう。

「飲みたい時にバラエティ志向」へのマーケティング施策例

 このようにアルコール購買行動から浮き彫りになったマーケット状況とターゲット像が、マーケティング戦略の大きな指針となり、具体的なマーケティングプロセスが始まる。

 そこで私たちは、「飲みたい時にバラエティ志向」クラスターに向けて新商品の投入を検討することにした。実際にマーケティングを考えていく際に、プロダクトマネージャ-、広告制作担当者、メディアプランナー、リサーチャーはそれぞれの役割において、何に着目し、どのように行動していくべきだろうか。以下に私たちが試みた一例を挙げる。

プロダクトマネージャー
 注目した点は、このターゲットの「食」へのこだわりが強く、実際に「ワイン」の購入量が多いということ。自宅の食卓においてもバラエティが豊富そうな傾向が見える。そこで、プロダクトマネージャーは、250ml の飲みきり缶タイプで、「和食に合う家飲みワイン(赤・白)」「パスタに合う家飲みワイン(赤・白)」というコンセプトで新商品を開発した。さらに、このクラスターは、新しいものに移り変わりやすい特徴があるので、新商品を継続して購入してもらうために、缶のデザインは変えず、中身は月替わりでの変更が可能か、生産ラインと最終調整を行っている。

広告制作担当
「飲みたい時にバラエティ志向」がグルメ情報に敏感であることにヒントを得て、料理・グルメ番組常連のタレントが、ネット上で話題になっている料理をうまく作れるかどうか?というチャレンジ企画を考え、この新商品と共においしそうに食卓を楽しんでもらうビッグアイディアを考案した。シリーズ化し、長期的に実施していくため、企画案を多数準備中だ。

メディアプランナー
 同じく「飲みたい時にバラエティ志向」のクラスターが、テレビの視聴とパソコンやモバイルの利用の時間が同程度であることに注目し、店頭配荷への影響を加味しつつ、インターネット上での露出増を目指すことにした。そこで、興味・関心にあわせて、テレビでは「ニュース・報道番組」を重点的におさえ、デジタルではカスタム アフィニティ カテゴリー(注3)などを活用した最適な運用を予定している。