リチャード・ファーソンとラルフ・キーズは「失敗に寛容な組織をつくる」のなかで、失敗と成功の両方がポジティブな学習経験だと見なされる環境をつくることで、そもそも再起力を要する事態を未然に防ぐことを勧めている。リーダーが建設的な環境を築く方法として2人が挙げるのは、まず上司と部下を隔てている人間関係上の壁と官僚的な壁を取り除くこと。そして部下と個人レベルで関係を築き、自分の過ちをオープンに認めること。さらに(意外かもしれないが)、称賛も非難も控えて、恣意的判断を避けた分析的な態度で臨むことである。

 マーティン・セリグマンも「トラウマを糧にする法」で、企業は社員の再起力強化を支援できると述べている。兵士をトラウマから回復させる米陸軍のプログラムを参考に、ペンシルベニア大学の「ペン・レジリエンス・プログラム」では、挫折について楽観的に考えることを教えている。無力感が習性になってしまうのをポジティブ思考によって避けるという方法だ。

 これに触発され、自社でも試してみようと思う読者もいるかもしれない。しかし、ボンドとシャピロの調査対象者たちがもしも典型例ならば、組織的な取り組みが有効と考えている人は少数派である。「自分の再起力の源泉はどこにあると思うか」という質問に対し、90%が「自分自身」と答えたのだ。50%強が「人間関係」と答え、「自分の組織」と答えたのはわずか10%にすぎなかった。

 これは残念なことだ。数々の難題に直面している組織にとっても、小さな傷つけ合いに日々さらされている私たち個々人にとっても、再起力の源は結局のところ同じであり、等しく有効なのだから。ダイアン・クーツは聡明な論文「『再起力』とは何か」で、こう雄弁に述べている。

「再起力が高い人は3つの特長を持つ。①現実をしっかり受け止める力。②『人生には何らかの意味がある』という強い価値観に裏打ちされた、確固たる信念。③驚くべき即興力。これらのうち1つか2つを持っていれば逆境を乗り切ることはできる。しかし再起力を真の意味で発揮するには、3つすべてが欠かせない。これら3要素はまた、再起力の高い組織についても当てはまる。……再起力の高い人や企業は、現実に毅然と目を向け、困難な状況を悲嘆することなく、前向きな意味を見出し、何もない状態から即興で解決策を生み出す。それは他者が模倣できないものである」


HBR.ORG原文:What Resilience Means, and Why It Matters January 05, 2015

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アンドレア・オバンズ(Andrea Ovans)
ハーバード・ビジネス・レビューのシニア・エディター