クオリティ of 「X」を極める

 グローバルに成長するためにいま必要なのは、自社の本質的な価値を掘り起こして、徹底的に磨き上げることです。「本質的な価値」は企業の数だけありますが、磨き上げる方向性は基本的には変わりません。それはクオリティの追求です。

 アメリカで生まれたTQC(Total Quality Control)が日本で育ち、世界標準になったのは、クオリティに対するこだわりの強さとそれをやり抜く力で日本が他を圧倒していたからです。そして、いまもそれは変わりません。

 製品品質(Quality of Product)やサービス品質(Quality of Service)などがすぐに思い浮かぶかもしれませんが、どんな業種や仕事にも追求すべき品質はあります。製品やサービスという表面的な言葉で括らずにもう一段掘り下げると、本当にこだわるべき点が浮かび上がってきます。

 ProductやServiceに代えて、何が入るかを考えてみます。自動車メーカーならQuality of Mobility。たとえばトヨタはグローバルビジョンで、「人々を安全・安心に運び、心までも動かす」と唱っています。食品メーカーなら迷わず、Quality of Eating。味の素の「Eat Well, Live Well」というスローガンは、まさに同社の目指す本質を言い当てたものといっていいでしょう。「服を変え、常識を変え、世界を変える」ことを目指し、「ライフウエア」を提供するファーストリテイリングの場合は、Quality of Lifeということになるでしょう。

 いまさら言われなくても品質には絶対の自信があると胸を張る経営者の方にも、もう一度考えてみていただきたいと思います。その品質は本当に価値あるものでしょうか。市場が求めているものとずれた、自分たちだけのこだわりを押しつけてはいないでしょうか。

 問題はQuality of Xの「X」の部分なのです。何の品質を追求するのか。ここが定まれば、それを徹底的に磨いて極める力を日本の現場はまだ持っています。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、どんな戦略も現場がやり抜かなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。現場こそが戦略の遂行者であり、またカイゼンが示すように最大の知恵の出所であるところに、日本の経営の強みがあります。

 そうでなくてもやるべきことが山とある現場に、新しい知恵を出せ、学習せよと要求しても、そう簡単に応えてくれるとは限りません。この20年の間に疲弊と弱体化が進んでいるのも事実でしょう。しかしだからこそ、この日本の経営の神髄をもう一度奮い立たせ、グローバル3.0に向けて成長エンジンを駆動していくことが重要なのです。