教訓②:クラウドソースを活用する

 現在の先進国の企業は業界を問わず、複雑で厄介な諸々の問題に直面している。したがって、自前のケイパビリティやリソースだけに頼ることは、戦略として機能しないだろう。時間と金を無駄にする前に、CEOにはやるべきことがある。サプライヤーや大学、小回りの利く起業家などから成る外部のネットワークに、コスト効率のよい方法で倹約的なソリューションをクラウドソースすることだ。

 外部のイノベーターとの協業によって、従業員の物の見方を変え、組織文化の変革を早めることができる。たとえばゼネラル・エレクトリック(GE)は、航空機のエンジンブラケットを3Dプリントでデザインするコンテストを実施。より軽量で次世代型で、3Dプリンタさえあればどこでも製造可能なデザインを社外から募った。その目的は、GE航空機部門の顧客の燃料費とメンテナンス費を削減することだ。コンテストには56の国々から699件の応募があり、優勝はインドネシア・サラティガのエンジニア、M・アリー・クルニアワンが獲得した。彼のブラケットは現行品より84%軽かったが、9500ポンド(4310kg)の荷重に耐えることができた。

 このコンテストは、GEのCMOベス・コムストックが主導する数々の取り組みの1つである。目指しているのは、GEと世界中のイノベーターたちの頭脳をつなぎ、より優れたソリューションをより迅速に、より安く共創すること。これにより、GEの閉鎖的な文化を「開放」しようとしている。

 アメリカン・エキスプレスは、銀行口座を持たない約7000万人のアメリカ人に対する倹約的なソリューションを見出すために、非営利団体のIdeas42との協業で「ファイナンシャル・イノベーション・ラボ」を立ち上げた(英語サイト)。これは学術研究者、起業家、デザイナー、技術者、実務家をつなぐオープン・イノベーションのプラットフォームである。より多くのアメリカ人が金融サービスをもっと手頃に利用できるよう、新たなアイデアの共創と迅速なテストを進めている。

教訓③:組織構造をシンプルにして、従業員に権限を与える

 企業は「時間」を倹約しなければならない。ビジネスで最も貴重なリソースだからだ。時間を節約して機敏性を高めるために、企業は自らの資産を――物的資産やサービス資産のみならず、人材も含め――柔軟にすべきである。顧客のニーズにより迅速かつ適切に応えるべく、CEOは組織構造をシンプルにしなければならない。すなわち、官僚主義を排して従業員に権限を与え、柔軟な考え方を促進するのだ。

 グラクソ・スミスクライン(GSK)のCEOアンドリュー・ウィティーは、巨大な研究開発部門を解体して、製薬というよりはバイオテクノロジーの色合いが強い40のユニットから成るネットワークとして再編した。あらゆることに目を配る単一の部門とは異なり、各ユニットはある特定の科学的課題に基づいて編成されている。この組織再編の目的は、新たな科学分野への参入と撤退をいっそう容易にすることにある。たとえば、ある科学分野の成長が見込めれば、そこへの投資を増やす。もしそうでなければ、当該ユニットを閉鎖して配置換えをすればよいのだ。

 また、GEのCEOジェフ・イメルトは、リーン・スタートアップの概念を取り入れた「簡素化の文化」を社内で推進してきた。同社はファストワークスと呼ばれるツールと指針を構築し、規模・効率性とスピード・機敏性の融合を図っている。すでに4万人あまりの従業員に、明確な顧客ニーズに素早く応えられるMVP(実用最小限)製品の開発を教育してきた。複雑かつコスト高のビジネスモデルで、過剰性能な「最善」のソリューションを生み出すのではなく、「まあまあ程度」(good enough)のソリューションを立案・実行し、ユーザーから素早くフィードバックを受け取り、微調整しながら進むという方法だ。2014年半ばの時点で、GEは世界各地での300を超えるプロジェクトでファストワークスを活用している。