また、業界によっては高齢者が増えることが大きなチャンスにもなる。将来着実に、介護・介護支援ロボットや医療ロボット、あるいはセラピー用のロボットなどの需要が生まれるはずだ。パナソニックにいたっては、本格的に介護ビジネスを一つの柱にするとまで言っている。これは、パナソニックとって質の異なるビジネスモデルのインキュベーションでもある。

モデルとダイナミズムの発想法

 本稿の最後に、ビジネスモデル発想を強化するためのヒントを提示しておきたい。

 ビジネスモデルとはまさにモデル(構造)とダイナミズム(時間発展)からなるシステムでもあった。つまり、ビジネスモデル発想とは、事業や戦略をシステムとしてみることに他ならない。物事を現象ではなく、構造と時間発展で捉えようとする発想であるとも言えるだろう(注3)

 システムとして物事の本質を捉えようとする際には、以下の3つのポイントを覚えていて損はないと思う(注4)。

1)「安易な出口は通常元に戻る」。戦略検討の議論などを横目で見聞きしているとよく耳にするのだが、さんざん議論した後、終わりの方になると「とりあえずこれしかできないからこれをやっておこう」といった結論に至ることがある。これは対症療法であり、長い目でみると、物事が好転することはない。

2)「原因と結果は時間的・空間的に近接しているとは限らない」。営業の問題だと思っていたが、実際には生産の問題だったとか、生産の問題だと思っていたら開発の問題だったとか、今の問題は15年前の施策が元々の原因だとか、原因と結果は離れていると思ったほうがよい。

3)「罪を着せる外部はない」。物事をシステムとして捉えるということは、他人のせいにできないということになる。なぜなら、すべてはつながっているからである。逆に、他人のせいにしていては、問題解決を永久に放棄してしまうことにもなる。システムとはこのような特徴をもっており、システムであるビジネスモデルを考える際にも「罪を着せる外部はない」といった点に留意すべきである。

(注1)リチャード・P・ルメルト『良い戦略、悪い戦略』(日本経済新聞出版社)

(注2)クリストファー・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)

(注3)平井孝志『本質思考』(東洋経済新報社)

(注4)ピーター・M・センゲの『最強組織の法則』(徳間書店)