相互理解と相互マネジメントの質を高める三つのモード

 その相互理解と相互マネジメントの質を一気に高めることは難しいので、漸層的に進めるインタアクションの枠組みとして考案した「Interactive Evolution Modes(IEM)」に沿って話を進めよう。


 この図は、インタアクションを三段階のモードで示している。インタアクションは「深さ」と「幅」が増すにつれて、その強度が高くなる。

 三つのモードは、「深さ」に連動する。

第一モード:互いの行動様式を理解することを目指すコミュニケーションレベルでのインタアクション、「相互理解」。
第二モード:成果を出そうとして協働するパフォーマンスレベルでのインタアクション、「外交的協働」。
第三モード:双方のリソースを統合してケイパビリティを強化する組織構造レベルでのインタアクション、「構造的統合」。

 そして、「幅」は、双方の組織でインタアクションに関与する「主体部分の範囲」を指し、三つのレベルがある。

第一レベル:インタアクトする部分がごく限られた場合で、双方の「出島」同士でインタアクトする。
第二レベル:インタアクトする部分が広がり、たとえば双方の海外拠点同士や、対応する事業同士でインタアクトする。
第三レベル:インタアクトする範囲が双方組織の「全体」にまで広がり、全社レベルが統合された形でインタアクトする。

 IEMでは、緑と青の双方の組織において、インタアクションが簡単なモードから順に、幅も比較的動きやすそうな狭い範囲から順に広がるという風に、深さと幅を漸層的に増大させていく。

 ここでは、読者の多くが日系企業の方々であることに鑑み、日系企業が外資系企業をM&Aで統合するような、緑と青の組織が全面的に出会う場面を想定しよう。

相互理解ができるか?

 第一モードのインタアクションでは、コミュニケーションを通じてお互いをよく理解することをねらう。このモードが想定する典型的なケースは、たとえば日本企業Xが外資系企業Yを買収後に、買収先のYを、Xの持株会社の下にぶら下げて、限定された範囲で管理・ガバナンスを行うといった場面である。

 そこでは、各種経営会議で双方のトップレベルが意見交換・議論するとか、あるいは財務の担当者同士が情報のやりとりを行うとか、人事部門同士が最小限の人事情報を交換するなどといった場面が想定される。

 その際、各組織は現状の組織を維持し、各組織を動かす設計図(WHY・WHAT・HOW)もそのまま一切変更は加えない状態で、お互いの理解を深めていく。全社レベルで行動様式が大きく異なる緑と青の間でのことであるから、限られた接触であっても、背景情報として、相手の思考・行動の特徴をある程度おさえておくことは必須である。