次に我々は、HBRの財務的指標と当社の非財務的業績評価指標との関係を詳しく検証した。我々は過去の調査に基づいてこう考えていた。高い評判を得ている企業は、評判の低い企業より財務成果も優れている可能性が高い。前者は多くの場合、次の指標で後者を上回ることがわかっている。利益率(総資産利益率〈ROA〉と自己資本利益率〈ROE〉の両方)、株価収益率、時価/簿価比率、EV/EBITDA比率――どれも投資家が企業業績を評価する際の主要指標だ。

 ところが、以下の散布図が示すように、今回の100社に関しては財務的指標と非財務的指標とが相関関係にはないことが明らかとなった。つまり、高業績企業が世間で高い評判を得ているとは限らないし、評判の高い企業が必ずよい財務成績を上げているわけでもなかった。

(下図の縦軸はレプトラックによる評判ランキング。横軸はHBRのランキング。ともに1が最高位。)

 たとえば右下の象限を見てみよう。財務成績では高位だが、評判は低い企業である。モンサントはその典型例で、同社のCEOはHBRの財務成果に基づくランキングで8位につけたが、評判は100社のなかで最低であった。一方、左上の象限にも多くの企業がある。これらは世間の評判は非常に高いが、財務成績は低い(ただし、世界的な基準からいえばきわめて高業績である。さもなければHBRのベスト100に入らない)。典型例はフォルクスワーゲンとダノンだ。どちらのCEOもHBRのランキングでは下位だが、非財務的な基準での世間の評価は高い。象限全体でのこれほどバラつきが生じるのは、CEOのパフォーマンスに対する視点が異なるからである。

 2つのランキングは相関しないため、CEOの「正味の」功績を評価する方法は当然ながら単純ではなくなる。どちらの評価基準にどれくらいの比重を置けばよいのか。財務的基準と非財務的基準の重要度を等しいものとすべきか。異なるならば前者に重きを置くべきか、後者を重視すべきか。

 我々の考えはこうだ。CEOの成果をより本質的に表す指標は、在任期間中にどれだけ「自社に対する社会的支持」を生み出したかである。つまり人々の間で、この会社を他者に推奨したい、ここで働きたい、その製品を買いたい、ここに投資したい、という意思がどれだけ高まったかということだ。レピュテーション・インスティテュートは実際に、世論調査を通してこの指標を定期的に測定する。そして世間の支持に対する財務的基準と非財務的基準の相対貢献度を統計的に算出している。統計分析が示すところによれば、この指標に関するCEOの成果のうち約35%は財務成果によって説明でき、残りの65%は非財務的基準に帰すことができる。