データに基づくファクトがマーケティングの始点

 このような実態をアンケートデータから捉えるのは難しい。なぜなら回答者は、テレビ「も」パソコン「も」スマホ「も」使っているため回答にバイアスがかかり、どれも活用していると答えがちだからである。さらにアンケートを実施する側が明快な答えを求めるため、テレビかウェブか?デスクトップかモバイルか?というニ者択一の設問にしてしまう傾向があるのも一因である。

 今回は、グーグルマーケットインサイトが実施している、シングルソース化された行動ログデータベースを使ったデータ分析の有効性について、いくつかの事例を交えて紹介した。「そのとおり」という方もいれば、「自分の実感とは違う」と思われる方もいたのではないだろうか。

 ここで申し上げるべきは、そのどちらも感覚であって、ファクトではないということである。マーケティング戦略を立案するにあたって、データによって確認されていないすべては感覚なのだ。もちろんマーケターの経験に基づく感覚は重要ではあるが、情報メディア利用の広がりに関しては、これだけ日々メディア環境が変化する中で、その経験が結果的にバイアスとなってしまうこともあるのではないだろうか。

 それを避けるために、まずは行動ログベースのデータを分析し、その感覚や予見をまずデータで確認することが非常に重要である。予見がファクトベースで確認できれば、自信をもって戦略を遂行できる。もし、その予見と違う結果が出たら、それは決して不都合な真実などではない。その食い違いこそが「今」の生活者の変化をとらえているのだから。

 次回は、このデータを使って、「今」の生活者の情報利用がファクトベースでどのように分類できるのか、その分析結果を紹介する。

(つづく)

*次回は5月22日(金)公開予定。

 

【注】
(1)生活者の行動やマーケティング投資の可視化など、データを軸にマーケティングの発展を目指すグーグルのマーケティングチーム。
(2)シングルソースパネルは、調査対象者一人ひとりのパソコン・スマートフォン・テレビの視聴行動を詳細に分析できる。パソコンとスマートフォンのブラウザからのインターネット利用や、スマートフォンのアプリ利用、テレビでは対象者が家庭内で見たテレビ番組や CM(録画視聴含む)が分析対象となる。ユーザーの記憶には残らないような情報接触行動まで分析が可能となる。パネル自体は調査会社が提供しており、グーグルは課題に応じてこのパネルのデータを活用し、様々な分析を実施している。

 

【連載バックナンバー】
第1回:デジタルテクノロジーによってマーケティングはどう変わるか