別の例としては、消費財のP&Gが、“The P&G Marketing Framework”(P&Gのブランド構築フレームワーク)を策定し、全世界で共通言語化する取り組みを展開してきた。社内のマーケティング計画には、必ずWHO誰に、WHAT何を、HOWどのように、の3つの視点に対する答えを明確に提示するように求めるものである。単純な問いかけであるが、ターゲット顧客、主な潜在顧客、目指すブランド力、ポジショニング、価値提案(バリュープロポジション)、マーケティング・ミックスなどを必ず意識して計画を検討させる枠組みになっている。この取り組みをCMO最高マーケティング責任者として推進したジム・ステンゲル氏は、「このフレームワークは当初単純すぎるとして、ほとんどのマーケターには特に新しいとは受け止められなかった。…しかし、上司たちがこのフレームワークを使って話したので、部下たちもその重要性に気付いたのだった。…その結果、世界中の3500人のP&Gのマーケターたちの日常的な会話が変わっていったのだった」と述べ、共通言語化の経営的な重要性を指摘している。

定石2:企業自体のブランド力を高める

現在のマーケットでは、企業全体のブランド力向上が喫緊の経営課題になっている。その主な要因としては、

  • ・グローバリゼーションによって新たな市場の新たなステークホールダーに直面していること
  • ・製品の模倣やコピーが加速し、製品ライフ・サイクルが短くなり、全ての商品がファッション化しつつあること
  • ・インターネットの普及で情報化が進み、破壊的インパクトを持つ情報が瞬時に市場に氾濫すること
  • ・多角化、多地域化、分社化、M&Aなどで企業の境界が拡大し、企業統合とシナジー実現の困難さが増大していること

 

などが挙げられよう。