4.好奇心を掻き立てる言葉で締めくくる
 この段階で、例の「お仕事は何ですか」の質問に答える“ふり”をする。ただしそれは、さらなる質問を誘うための回答だ。好奇心をうまく掻き立てるための、簡単な公式を以下に示そう。

「私は[   ](理想的な顧客)に、[   ](商品・サービスの特徴)をお手伝いして/教えています。それによって[   ](利益・効果)が可能になります」

 私の場合に当てはめれば、「私は[マネジャーの皆さん]に、[本物の連帯感を築く秘訣]を教えています。[すぐに成果が出る]方法です」。これは「私は講演と執筆活動をしています」というよりもはるかに強い表現だ。しかも、「秘訣」と「成果」という言葉の曖昧さが好奇心を掻き立てるため、相手は質問を追加したくなる。これで難しい部分は完了だ。親密さと好奇心が高まった今、あなたはプレゼンに入ることができ、しかも好きなだけ長く話せる。

 では、エレベーターピッチの本題部分であるプレゼンについてはどうなのか。本記事のテーマはその事前段階についてではあるが、以下ではプレゼン部分に関する主なポイントにも触れておこう。それは完璧ではないが、個人的には大いに役に立ってきた。

 お気づきのように、私のプレゼンは長い。一般に上限といわれる20秒の2倍以上もある。最初に、私が測定可能な方法で協力し成果を上げた個人や企業の実例を、実際の結果に基づいて話すことから始める。そこには説得力のある言葉や、私が「隠されたセールスマンシップ」と呼んでいる言い回しをふんだんに盛り込んでいる。

 それから私が「気にかけて探している」のは誰であるかについて、具体的に言及する。「見分けるのは簡単です。彼らは……」に続けて、ターゲット顧客が共感できるような悩みの種を3つ挙げる。その間、「言葉による不意打ち」とは真逆の効果を及ぼす目的で、徐々に熱意を込めていき、リズム、トーン、ボディーランゲージを使って相手をパターン化された振る舞いへと戻していく。最初のような抵抗のパターンではなく、同調のパターンだ。

 相手が再び話す番が来る前に、私はすでに探しているタイプを具体的に伝えている。もし相手が私のサービスを必要としているなら、この時点で自身の悩みを説明したくなっているだろう。実際に相手が話し始めたら、私はこう言って面談を取り付ける。「なるほど、重要な問題のようですから、腰を落ち着けてお話しするのはどうでしょう」。相手は驚くほど同意する。

 ただし、絶対にしてはならないことがある。相手に「売り込みをかけられている」と感じさせてしまうことだ。自分のプレゼンが会話ではなくセールスに変わりつつあるときは、間違った方向に向かっている。その場合は話すのをやめて、別の質問をすることだ。会話全体であなたの話が占める割合を、15~20%に抑えよう。

 最後の注意点として、いかなるコミュニケーションであれ、一番大事なルールは「自分らしくある」ことだ。私のプレゼンを自由に手本としていただいて結構だが、あなたの個性に合わせなければ、偽りやごまかしという印象を与えるだろう。何よりそれがプレゼンを台無しにする。

HBR.ORG原文:Your Elevator Pitch Needs an Elevator Pitch December 30, 2014


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ティム・デイビッド(Tim David)
企業にコミュニケーションのコンサルティングを行うメンタリスト。顧客には3Mやベライゾン、シティバンクなどが含まれる。マジシャンとして8年間活躍し、2010年に「北米のトップ・メンタリスト」に選ばれる。著書にMagic Words: The Science and Secrets Behind Seven Words That Motivate, Engage, and Influenceがある。