自社の探索チームに創造性を発揮してもらい潜在的な類似分野を見つけ出し、そこでピラミッド探索またはブロードキャスト探索を進めればよい。自社の守備範囲外で探索を始めれば、ピラミッド探索のほうがより離れた類似市場にまで達する傾向が強い。

 第2のポイントは、より「進歩的」な類似分野――たとえば当該の分野よりも技術が進んでいる、あるいはその問題に対してより切実な状況にある分野を選ぶことだ。屋根職人・大工・スケーターに関する我々の調査論文を例に取ろう。インラインスケート市場の企業が防具のアイデアを探し求めているなら、最善の調査対象は、高度なスタントを売りにするテレビのリアリティ番組(そこでは防護は切実な問題だ)、あるいは骨粗しょう症患者用の安全装備などかもしれない。見るべき分野を特定したら、次は優れた創造性を発揮している識者、あるいはその分野で似たような問題を解決しようと尽力している識者を探そう。

 なお、1つ留意しておくべき点がある。我々の調査によれば、類似分野からもたらされるソリューションは、特別に優れているものを除き、そのまま即時に有効とはいかない場合が多い。その理由はおそらく、ソリューション提供者が当該分野の背景に精通していないためだろう。この短所を克服するには、当該分野で問題の解決に当たっている人と類似分野の識者が交流する機会を設け、知識を得てもらうとよい。また、イノベーションの目標を明確にするのも有効だ。自社が求めているのは革新的なソリューションなのか、あるいは現実性を最重視するのか。後者であれば、現実的なアイデアを練る出発点として類似分野の知識を活用すればよい。

 過去にあなたがイノベーションの課題に直面した時、あるいはあなたの率いるチームが斬新なソリューションを見出そうとした時、その問題に精通した識者に相談しようと考えたことがあるはずだ。もしくは社内のR&Dやマーケティング、設計などの部門からアイデアを探そうとしたこともあるだろう。

 だが次回は、かけ離れているが類似性のある分野を探索してみよう。自社の業界で前提となっている制約や思考の枠組みに捕らわれていない、創造的な人たちを探すのだ。彼らはあなたの専門分野について詳しくないが、画期的なアイデアを思いつく可能性が高い。その頭の中には、あなたが最初からずっと探し求めていた答えが芽生えているかもしれない。


HBR.ORG原文:Sometimes the Best Ideas Come from Outside Your Industry November 21, 2014

■こちらの記事もおすすめします
十分な経験のない「新参者」が専門家を超える時
「ピクト図解」考案者が語る ビジネスモデルのつくり方【連載全5回】

 

マリオン・ポエッツ(Marion Poetz)
コペンハーゲン・ビジネススクールのイノベーション・組織経済学部准教授。

 

ニコラウス・フランケ(Nikolaus Franke)
ウィーン経済・経営大学教授。同大学のインスティテュート・フォー・アントレプレナーシップ・アンド・イノベーションのディレクターを兼務する。

マーティン・シュライアー(Martin Schreier)
ウィーン経済・経営大学教授。同大学のインスティテュート・フォー・マーケティング・マネジメントの責任者を兼務する。