難しく考えることではないんですよね。大人の発想から頭を切り替えて、子どものような発想で物事を考えることが必要です。そして、その源泉には自分の体験があります。「びっくりした」「怖かった」といった記憶をもとに、どうしたらみんなを驚かせられるか、惹きつけられるか考えていく。だから、いろんな体験をするのは重要なことですね。歌舞伎や落語を観に行ったり、スポーツをしたり。

――サンバに参加することも、その一環ですか。

 いや、サンバからはとくにインスピレーションわきません(笑)。ひたすらつらいだけで、インスピレーションどころの騒ぎではありませんよ。「あと何分で終わる、終わったらビールを飲む!」ということだけ考えています。

短時間で目標達成の快感を味わえる
娯楽が多様化してもゲームは消えない

――いま、時間を消費するためのツールは増えています。SNSのように、コミュニケーションそのものが娯楽にもなっている。そのなかで、ゲームはこの先どのような役割を果たすのでしょうか。

 すべての娯楽はゲームの競合になりますよね。たとえば、「金曜ロードショー」でジブリ映画が放映されるときは、その間のアクティブが下がったりすることもあります。現実には、スマートフォンのゲームの場合、CMの時間帯にやれるので劇的な変化はありませんが、映画も音楽も、あらゆるエンターテインメントは時間を消費するという意味で同じ立場にあります。だからこそ、それらよりおもしろいものをつくらなければいけない、とは思っています。

――あらゆる娯楽との時間の奪い合いになると。

 人間の生活習慣を変えるような、常識をくつがえすくらいのものをつくりだしていかなければ、消費は奪えません。生活のなかでゲームをやれる時間は限られています。学校や仕事の時間をゲームにあててもらうわけにはいきませんから。だからこそ、残りの時間でメインになっているものと、ゲームの時間をひっくり返すことはできないかと考えます。たとえば、朝起きてまずSNSをチェックする人に、パズドラを立ち上げてログインボーナスをゲットする習慣をつけてもらうのは、その1つですね。ゲームプレイのサイクル、仕組み自体を設計していくことが重要だと思います。

――他の娯楽に負けて、ゲームがなくなるという未来はありえませんか。

 なくなることはないでしょう。ゲームが与えるのは、目標達成の快感です。それは、他のエンターテインメントにはありません。小さな目標の達成を積み重ねていくのは、人生も同じですよね。人生の目標達成には時間がかかりますが、ゲームは短時間でそれを味わうことができる。

 欲しかったアイテムをゲットできた、強い敵を倒せた、ステージをクリアした……人間は、そういった目標達成の快感を欲する生き物なんです。生活必需品ではありませんが、ゲームというものは昔から存在している。それは、人間の本能に基づいているからだと思います。

前編「本に書かれた“社長”を演じる必要はなかった 創作意欲が枯れるまでゲームをつくり続ける」

 

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