――途中まで開発したけれど、完成させずに中断するというケースもありますか。

 あります。コンセプトは固まっているけれど、それをどうしたらもっとおもしろくなるのかというアイデアが浮かんでこないときは、スパッとやめます。

――コンセプトそのものが悪かった、ということはありませんか。

 そういう場合もあるかもしれません。ただ、コンセプトはおもしろくても、実装していくとなかなかおもしろくならないという場合も多いと思います。テーマが難問であるときは特にそうですね。テーマが難しいほうが、おもしろいゲームができるので、そこが難しい。でも、やめても捨てるわけではありません。それらはすべてストックします。

 企画はすべて、ゴミにはならないんです。人から見たらキャビネットのなかのボツファイルはゴミかもしれませんが、僕らにとっては宝の山。自分たちのアイデアはしっかりとっておくほうがいいと思います。

ゲームデザインは子どもの遊びと同じ

――ゲームデザインを専門的に学んだことがないとおっしゃっていましたが、そんな森下さんが、なぜおもしろいゲームをつくり出すことができるのでしょうか。

「企画はすべて、ゴミにはならないんです。人から見たらキャビネットのなかのボツファイルはゴミかもしれませんが、僕らにとっては宝の山」

 ゲームをつくるのは、意外と簡単なんですよ。みんな、子どもの頃にやったことがあるんじゃないかな。たとえば、年末年始に親戚の子どもたちが集まったとします。とくに遊ぶ道具もなくて、それぞれの住んでいるところもバラバラ。じゃあ、鬼ごっこでもしようかとなる。

 鬼ごっこもひとつのゲームではありますが、そこにいろんなルールをくっつけていくともっとおもしろくなりますよね。鬼にタッチされた人が動けなくなって、逃げる人にタッチされたらまた動けるようになる。このルールを加えたのが「氷鬼」です。もしくは「ケイドロ」のように、逃げる人は泥棒で、追いかける人は警察官という世界観を取り入れる方法もあります。

 これを広げて考えていくのが、ゲームデザインなんです。ブランコに乗って靴を飛ばすのもそうですね。誰が一番遠くに飛ばせるかを競うのか、飛ばした靴を空き缶にぶつけられたら勝ちなのか。ブランコを使ってやる新しい遊びを考えよう、というのもゲームのコンセプトの源泉になります。