プロ経営者の定義

 このようにプロ経営者が注目されていますが、そもそも「プロ経営者」という言葉の定義があいまいなようです。そう呼ばれている方の共通点から定義を見つけてみると、①他社での社長経験を有する、②MBAなどの経営教育を受けてきた、③複数の企業(あるいは事業)の経験がある、などです。このうち②に関しては、内部の人材でも該当者がいますが、①や③を受け入れるならば、そもそも他社や他業種での経験がないと、優れた経営者になれない、と定義しているかのようです。

 企業を取り巻く環境が変化しているいま、変革を起こすリーダーが必要なのは言うまでもありません。問題はそのような人材が、そもそも当該企業から生まれないのか、育成できるのか。

 理屈で考えても前向きな答えは出ませんが、希望は事例にみることができます。それはGEとリクルートです。カリスマ経営者と言われたジャック・ウェルチの後を引き継いだジェフリー・イメルトはGEの社内で経験を積み、経営者となりました。しかも、イメルトとGEの社長を競った幹部はGEを去り、別の会社のCEOに就任しています。イメルト自身はウェルチとはまったく異なるリーダーシップスタイルで、GEを新たな成長路線へと導きました。つまりGEはイメルトのみならず、何人もの経営人材を育成してきたのです。

 リクルートは1960年の創業以来、成長を繰り返して来ました。その間、外部経営者の登用はなく、特筆すべきは絶えず事業開拓を繰り返してきたことです。自らの人材だけでも変化を起こせる証左でしょう。おまけに同社は「卒業生」が外部で活躍する人材輩出企業としても知られています。

最新号ではリクルート社長の峰岸真澄さんにインタビューさせていただきました。峰岸さんは生え抜きの方です。インタビューで感じたのは、仕事の進め方や事業展開の仕方そのものに人材が育つ仕組みが組み込まれている、ということです。そして絶えず変化する環境がそこにいる社員の成長につながっている。

 多様な経験が人材を育てるのは間違いないのであれば、その環境を自社でつくることはできないものか。優れた人材育成の仕組みは優れた事業展開から生まれる時代ではないでしょうか。(編集長・岩佐文夫)