実験は、本物の経営とクリエイターとの対談で

 実験に協力してくれたのは、都内を中心に27店舗を展開する「築地玉寿司」の代表取締役社長、中野里(なかのり)陽平氏と、博報堂のクリエイター、小杉幸一氏。中野里氏は玉寿司の4代目社長として約10年前に父親からバトンを受け、厳しかった業績を全店黒字の成長軌道に乗せた実績を持つ、飲食業界の中でも注目の若手経営者だ。小杉氏はキリン、資生堂、SUZUKIなどの広告を担当し、経営者とも日々接している美大出身のクリエイターである。

 今回は2時間のミーティングを2回設定し、1回目では課題を引き出し、2回目は課題に基づいてアドバイスをする、という大雑把な目的だけを提示し、あとは経営者とクリエイターに自由に議論してもらった。

 といっても、お見合いのように「あとは若い2人で」と言われた当人達の会話を見て頂ければ分かるが、当初は戸惑いながらも課題を探り合う様子が続き、私自身もこの実験は成功するのか?と不安に感じた瞬間もあった。しかし、2回のミーティングが終わった後の中野里社長の反応が未だに忘れられない。それは、このミーティングが実験であるとあらかじめ告げているにもかかわらず、「小杉さん、この続きを仕事としてぜひやりましょう!」と、興奮を隠すこと無く言わせてしまうほど、社長が潜在的に持っていたある事業課題が明らかになったのである。

 それが何かが明らかになるのは少し先の記事となるが、読者の皆様にはしばらくご辛抱頂いて、経営者がクリエイターと「お見合い」するとどのようなことが起こるのか、その目撃者になって頂きたい。

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