技術だけで社会は変わらない

 典型的な教育と言えば教室による先生と生徒の対面教育です。しかし、ネットワーク技術を使えばこの物理的な制約を超えた「授業」が実現します。事実リクルートの受験サプリや東進ハイスクールのビデオ・オン・デマンド教育など、受験生の学習環境を大幅に変えつつある事例はすでに登場しています。従来の教育のすべてがオンラインで置き換わるかどうかはわかりませんが、対面教育や教師による手作業に負っていた教育の多くの部分をデジタル技術で置き換えることができるのは間違いなく、さらに言えば従来実現しなかった新たな学習効果も期待できます。

 一方で、教育の場合、変革に必要なのは技術的課題だけでなく、社会的課題の存在が大きいのも確かです。人は「変化」に対し、得体の知れぬ不安を覚えるものです。未知なる環境に適応できるか、予測できないことを避けたい本能があります。これが社会になると従来の仕組みから新しい仕組みに移行することで経済的損失を蒙る人もいるため、その移行は一筋縄には進みません。

 技術の変化とともに社会の変化が求められます。この社会を変えるのを最も得意とするのは、企業である民間セクターではないでしょうか。自動車社会もインターネット社会も、企業の活動が原動力となり実現しました。

 とかく社会の問題は、政治や行政の力に頼る論調となりがちですが、民間セクターの力で社会を動かしてきた実績も多々あります。多くの企業が教育分野に進出することによって、教育の仕組みが変わり出す。そして企業主導だけではバランスに欠く局面を政治や行政がサポートする。こんな変革のプロセスは効率も効果も期待できそうです。(編集長・岩佐文夫)